《プロに聞く!人事労務Q&A》年俸制へ移行する時の注意点を教えて下さい
回答者:雇用システム研究所 白石多賀子
年俸制は、労働者の職務や業績・成果を賃金に反映させ、組織の活性化等を求めて導入されています。最近の年俸制適用対象者は、管理職、専門職から一般職の社員まで拡大してきました。
企業によっては、毎月給与と賞与を年収ベースで調整し人件費を管理(年収管理型)して、それを年俸制と称しているケースもあります。年俸制に対する認識が企業と労働者で異なる場合も多く見受けられ、トラブルも多く発生しています。
労働基準法の適用を受ける労働者に年俸制を導入する場合は、労働基準法に違反しないよう設計することが必要です。
■年俸制であっても毎月1回の賃金支払いが必要
年俸制は、労働者の年間総額を職務や業績・成果などと結び付けて賃金決定をしています。しかし、労働基準法第24条第2項で、「賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。」(毎月一定期日払いの原則)と定めていますので、年俸制でも毎月払いが適用されます。
たとえば、年俸額を12等分し、毎月12分の1ずつ支払う。または、年俸額を15等分し、毎月15等分の1ずつ支払い、残りの15等分の3は賞与で支払う等の方法があります。