中国市場での成功に不可欠なデジタルマーケティング、その可能性と落とし穴[2/2]--失敗と成功に学ぶ
中国特有の「メディア環境」「中国人消費者のインサイト(本音、行動原理)」をとらえられずに、中国における事業展開に失敗する企業は多い。今回は、特有のマーケティング事情に対応できず、失敗につながってしまった事例を紹介したい。
中国特有の事情を知らずに失敗した事例とその要因
まずは、わずか1日でネット上のクーポン配布キャンペーンを中止する事態に陥ったケンタッキー・フライド・チキン現地法人(KFC)の例を紹介したい。
10年4月6日午前、KFCは自社サイトで、“秒殺!100人限定半額クーポン配布"というバナー広告を掲載した。このキャンペーンは、ユーザー間でQQ、MSN等のメッセンジャーを通して数時間で一気に広がり、予想をはるかに超える顧客がクーポンを持って店舗に殺到。
この流れを受け、6日午後にKFCは自社サイトでキャンペーンに中止を告知し、クーポンは使用不可となった。そして翌日、全国3000店舗のほとんどがクレーム対応できずに閉店に追い込まれ、8日には各主要メディアによって、この事件は「秒殺ゲート(秒殺門)」と名付けられた。
最終的に、中国におけるKFCのブランドイメージは大きく低下することになったのだ。このキャンペーンの敗因は、中国人消費者の反応は他国以上に速く、規模が大きくなるということを事前に想定できていなかったことだろう。
中国におけるオンラインキャンペーンでは、事前にローカルに根付いたメディア情報とそのユーザー情報を理解し、綿密なコミュニケーションプランとキャンペーンの受け皿を用意しておく必要があることがわかる。
続いて、当時中国最大のECサイトEachNet(中国名:易趣)を買収して中国での事業展開を開始するも、今年、中国市場撤退に追い込まれたeBayの例を見てみたい。