中国市場での成功に不可欠なデジタルマーケティング、その可能性と落とし穴[2/2]--失敗と成功に学ぶ
03年当時、ebayはバナー広告などの伝統的な宣伝方式を採用していたが、同社とライバル関係にあるTaobao(中国名:淘宝網)は、ユーザーのプライバシーを無視する形でパソコン画面上にフルスクリーンで現れるフラッシュ技術を使用する広告展開を行った。
Taobaoの突飛な広告手法が功を奏し、結果的にeBay易趣はサイトトラフィックの3分の2を奪取されることになる。その後、見かねたeBay側もTaobaoと同じ広告展開方式を採用したものの、時すでに遅し、模倣を嫌う中国人の複雑な心情も相まって、ユーザーからのクレームが頻出し、政府による規制強化につながった。
そのころ、Taobaoはすでに正道な広告展開に変更していたというのも皮肉である。中国では、莫大なユーザー数を抱えるインターネットユーザーの特性やインサイトをしっかりと理解しておく必要がある。
中国で成功している事例とその要因
一方で、中国特有の事情を理解したプロモーション展開で、中国進出を成功させている企業も存在する。
たとえば、ベネッセコーポレーションである。ベネッセは中国での会員数が30万人を超え、年間売り上げは5億元(約63億円)を突破している。また0~6歳対象の幼児教育講座のシェアは1位を誇るなど、絶大な人気を博している。
ベネッセの成功要因は、中国市場へのローカライズを徹底していることにある。
まず、中国の商慣習に合わせて日本とは異なるプロモーションアプローチを採用していることが挙げられる。日本ではオフラインコミュニティやオフラインキャンペーンが主であるが、中国ではEマーケティングや電話営業を行っている。