中国市場での成功に不可欠なデジタルマーケティング、その可能性と落とし穴[2/2]--失敗と成功に学ぶ
中国デジタルマーケティングにおけるパートナー企業の選び方
最後に、中国でデジタルマーケティングを展開する際の理想的なパートナー選びについて示したい。
まず中国ローカルの環境を熟知し、中国人消費者のインサイトをつかんだうえでプランニングができる企業であることが望ましい。中国では、日本以上に政府からの監視への対応が必要であるし、プラットフォームに特有のルールやマナーが存在する。また、情報が急激に膨大な数のネットユーザーに伝搬する可能性があり、中国人消費者のインサイトを理解しておかないかぎり、双方向性を特徴とするデジタルマーケティングでのプロモーション成功は困難である。
次に、中国においても日本と同水準もしくはそれ以上にブランド力を維持強化できるパートナーを探すことが望ましい。具体的には、中国の有力ネットメディアとの独占枠を開発したり、有名な芸能人を起用したり、中国のローカルで培った人脈を通じて初めて実現するコンテンツ開発力がカギとなる。
3つ目に、売り上げと利益に直結するデジタルマーケティングサービスを提供できるかがポイントとなる。デジタルメディアの大きな特徴は、伝統的メディアに比べて、詳細なデータを容易に収集できることにある。消費大国である中国で、データを有効活用し、定量的かつ戦略的に販売促進につなげていくノウハウを持っていることが、ビジネスを展開する上で最大の武器となる。
そして最後に、PR視点でデジタルマーケティングを行えることが重要だ。コミュニティへの帰属意識が高く、口コミを重視する意向が強い中国人消費者に向けては、ソーシャルメディアを活用したマーケティングが効果を発揮するが、そのとき、広告視点ではなくPR視点でのコミュニケーションプランニングがより重要になってくるのだ。
これら4つの条件を兼ね備えていることが、日系企業が中国進出する際のパートナー選びとして必須条件になるだろう。中国と日本の国家間の緊張が高まっている今だからこそ、企業主体のマーケティングも中国人消費者の気持ちや独自の文化に寄り添い、徹底したローカライズ思考が求められるのだ。
太田 滋
ビルコム株式会社代表取締役兼CEO。1976年生まれ。大学卒業後、IMJ、ソースネクスト等を経て、2003年、デジタルマーケティング、PRを手掛けるビルコムを設立。2011年4月を目処に上海億目広告有限公司と経営統合で合意、100%出資の現地法人「BILCOM China」を上海に設立予定。
写真はベネッセの中国向け教材、撮影:今井康一
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