《プロに聞く!人事労務Q&A》海外派遣労働者の健康診断について教えてください

2.海外派遣帰国後の健康診断

会社は、海外に6カ月以上派遣した労働者を、帰国後に業務に就かせるとき(一時的に就かせるときを除く。)は、当該労働者に対し、定期健康診断に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならないことになっています(同法則第45条の2第2項)。

前述の派遣前の健康診断と同様に、医師の判断で行うことになりますが、検査項目が一部異なります。

<海外派遣帰国後の検査項目>
(1)腹部画像検査(胃部エックス線検査、腹部超音波検査)
(2)血液中の尿酸の量の検査
(3)B型肝炎ウイルス抗体検査
(4)糞便塗抹検査

なお、帰国後に日本に数日間滞在して、またすぐに海外に派遣される場合や、帰国後数日以内に退職する場合には、当該帰国後の健康診断を行う必要はありません。

3.報告義務と罰則等

健康診断結果の労働基準監督署への報告義務については、同法施行規則第52条に、「常時50人以上の労働者を使用する事業者は、第44条(定期健康診断)、第45条(特殊従事者の健康診断)又は第48条(歯科医師による健康診断(定期のものに限る。))を行なったときは、遅滞なく、「定期健康診断結果報告書(様式第6号)」を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。」と規定されています。

よって、海外派遣労働者の健康診断は定期のものではないので、その結果についての報告義務はありません。しかしながら、健康診断の結果については、労働者本人に通知すると共に、会社は「健康診断個人票」を作成して5年間保存しなければなりません(同法第66条の3、同法則第51条)。

最後に、海外派遣労働者に健康診断を受けさせなかった場合の罰則についてですが、この場合は、会社に対して、50万円以下の罰金が科されます(同法第120条)。

半沢公一(はんざわ・こういち)
1980年東洋大学経済学部卒業。IT関連会社で営業、人事労務及び派遣実務に従事した後、91年に独立し半沢社会保険労務士事務所を開設。就業規則をベースとした労務相談を得意とする。企業や団体での講演・講義も多い。現在、東京労働局紛争調整委員会あっせん委員、東京都社会保険労務士会理事等を務めている。著書多数。


(東洋経済HRオンライン編集部)

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