「bZ4X」と「ソルテラ」試乗でわかった協奏の成果 トヨタとSUBARUの共同開発BEVは何がどう違うか

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登り坂においてドライバーはアクセル操作を行うことなく、自身が設定した車速を一定に保つことができる。電動モーターは人の瞬きの1000倍以上の速さで駆動トルク制御ができるため、こうした高精度な走行アシスト機能にも向いていることがわかった。

さて、共同開発によって誕生した2車だが、外観意匠が異なり、走行性能を決めるダンパー特性に違いがあること以外、ほぼ同一の車両である。そうなると気になるのは2021年に登場した同じく2社の共同開発車であるトヨタ「GR86」とSUBARU「BRZ」のような“仲良くケンカ”しながら開発が進んだのか、という点だ。

「トヨタとSUBARUの技術者が1カ所に集まり、昼夜業務に当たりました。ですので、トヨタが、SUBARUが、みたいない話は自然となくなり、技術者同士の濃い会話のなかで作り上げることができました」(bZ4Xの開発責任者である井戸大介氏)。 

トヨタとSUBARUで目指すBEVの姿は違う

ソルテラの開発責任者である小野大輔氏は、「同じ屋根の下で開発に取り組んだので、技術に対する理解度が早期に深まりました。同時に、目指すBEVの姿が違うこともわかってきました。SUBARUは1+1が3や4になるような走行性能をもつBEVを開発の主軸とし、トヨタさんは先進技術を前面に打ち出したBEV の開発を行った、そう考えています」と語る。

確かにbZ4Xにはトヨタ初の先進技術が搭載されている。通常の丸型ステアリングのほかに用意された「ワンモーショングリップ」だ。これはステアリングとタイヤを電気的に結合するステア・バイ・ワイヤー機構で、飛行機の操縦桿のようなステアリング形状を特徴とする。

左右に150度ずつ回転させるだけでフル操舵できるため、ステアリングを持ち替えることなくUターンができるなど利便性の高い先進技術だが、ソルテラではこの先も採用する予定がないという。

ソルテラの外観前(筆者撮影)

ワンモーショングリップは日産「スカイライン」に搭載されている「ダイレクトアダプティブステアリング/DAS」と同じ機構だが、安全に対する設計思想に違いがある。スカイラインのDASでは、万が一の際にステアリングシャフトとギヤ機構を電磁クラッチにより強制的に結合するが、bZ4Xのワンモーショングリップはそうした物理的な連結機構をもたない。

「万が一でも故障が発生しないよう、電源システムの冗長性と、演算装置であるCPUにも冗長性を持たせており、フェールセーフ性能は万全です」(ワンモーショングリップの開発担当者)という。

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