「bZ4X」と「ソルテラ」試乗でわかった協奏の成果 トヨタとSUBARUの共同開発BEVは何がどう違うか

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このほか共同開発BEVとして、筆者が注目したのは2車が搭載する2次バッテリーである。軽くて、電費が良く、長寿命だからだ。

まず軽さ。前述のとおり新開発で水冷式、容量は71.4kWh。補機類含めて450kg程度の重量になるというからkWh当たりの重量は、日産のBEV「リーフe+」(62kWhで439.7kg)よりも0.78kg程度軽い。

次に電費。公表されている電費性能は7.94km/kWh(WLTC値)と8km/kWhの大台に近い。トヨタでは、「1km当たりの消費電力の指標である電費を bZ4X以降、30%改善を目指す」としてきたが、電費性能の向上はBEVの軽量化にも直結するため、ここは注視したいポイントだ。

そして長寿命。BEVとして10年間、充放電を繰り返した際でも電池容量維持率は90%を誇るという。一般的には70%前後に低下するなかで、この値はすばらしい。また、「急速充電を繰り返しても電池容量維持率に大きな変化はありません」(bZ4Xの開発責任者である井戸氏)という。

ところでトヨタは、2017年11月開催の「トヨタの車両電動化技術説明会」のなかで「BEVは近距離用途」と公言していた。その真意はどこにあるのか、筆者は会場でトヨタの安部静生常務理事(当時)に質問し、次の回答を得ていた。

「トヨタはこれまでの車両電動化開発を経験してきたなかでBEVのメリットを十分に理解し、またデメリットも同じく認識してきました。そうした経緯を受け、現時点ではBEV=近距離用途という答えを導き出しています。

もっともHV/PHEV/FCEVのような中~長距離をBEVで達成することは現在(2017年)までにトヨタが蓄積した技術でも実現可能です。しかし、CO2削減や大気汚染の抑制、さらには将来にわたる最適なエネルギー源を勘案していくと、現時点でBEVを打開策の筆頭にするのは尚早であると考えています」とし、「しかしながら、この先もBEVが近距離用途のみになるとは限りません」とも付け加えている。

bZ4XはBEVのカローラのような存在になる

その回答から5年弱が経過した今、トヨタは「この先もBEVが近距離用途のみになるとは限らない」の発言を裏付ける2次バッテリーをbZ4X(ソルテラ)に搭載するに至ったのだ。車両として寿命を終えても、電池容量維持率が高いから2次バッテリーは違う環境で機能する。その意味で、LCA換算でのカーボンニュートラル化にも期待がもてる。

今回、限定的な路面状況で2車のプロトタイプに試乗したが、総じて特別なBEVではなかった印象だ。電費は良いが、驚くような加速力もない。デザインセンスは高いが、欧州BEVのような高い質感はない。ただ、最高の褒め言葉として、将来的にbZ4XはBEVのカローラのような存在になる、そう筆者には感じられた。

SUBARUが誇るAWD技術はBEVでも活きる(筆者撮影)

トヨタは常々、「エコカーは普及してこそ環境への貢献」と定め、電動化車両の販売と開発に取り組んできた。同時に、自動車ユーザーが積極的にそれら電動化車両のなかからライフスタイルに合わせて自由に選択できる、そんな商品力の向上にも努めてきた。bZ4X(ソルテラ)は、電動化車両の選択肢を増やしたトヨタ(SUBARU)初のBEVである。

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