母に疎まれ「自分がバグった」彼女の心に起きた事 うつ、過食、入院から回復するまでの軌跡

✎ 1〜 ✎ 49 ✎ 50 ✎ 51 ✎ 最新
拡大
縮小
「バグ」に苦しんできた花さんが、今語ることとは?(写真:筆者撮影)

「本当はこうしたかった、という気持ちを押しこめて生きてしまうと、バグが出てしまうのではないか」。取材応募メッセージの1通にあった、こんな言葉に目が留まりました。意図ははっきりしませんが、なんとなく「そうかもしれない」と感じられたのです。

送信してくれたのは、都内在住の女性、花さんです(仮名・40代)。母親から虐げられて育ち、万引きや過食嘔吐、うつの症状に苦しみ、一時期は精神病院に入院していましたが、その後回復して、いまは健康に働きながら、一人暮らしをしているといいます。

画面越しに顔をあわせた花さんは、はじめはやや固い表情でしたが、だんだんと笑顔を見せてくれるように。陽の光がよく入る、いかにも居心地のよい、ちょっとレトロな和室を背景に、過去をさかのぼってくれました。

足を持ってベランダから逆さに吊られた

この連載の一覧はこちら

母親は、子どもだった花さんが「子どもらしく振る舞うこと」が許せないようでした。笑えば「うるさい」と言われ、走れば「走るな」と言われ、やることなすこと怒られる。妹は何も言われず、母の矛先が向かうのはいつも花さんだけ。外ではとても愛想がよい母親だったので、誰にも相談などできませんでした。

「妹がいろいろ覚えていて。私は毎日、家の廊下に立たされていたらしいです。ご飯を食べない、テストが90点(100点じゃない)とかの理由で。ゴミ袋の中に入れられたり、足を持ってベランダから逆さに吊られたりしていたらしいんですけど、聞いてもあまり覚えていないんです。妹は『いまだったら捕まってるよね』と言うんですけれど、『え、そこまでだったんだ?』みたいな」

次ページ母親自身のうっぷんやプレッシャーが花さんに向かう
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT