物語の舞台となっている呪術高等専門学校。0巻の主人公、乙骨憂太(おっこつゆうた)が転校してくるところからストーリは始まります。その転校生のうわさ話をしている際に禪院真希(ぜんいんまき)が言ったセリフに「生意気ならシメるまでよ」があります。英語版では
生意気ならシメるまでよ。
となっていました。このcocky(生意気な)という単語やrough … up(〔人〕に暴力をふるう)という熟語は覚えておくといいでしょう。日本語のセリフの感じがよく出た英訳でしたので取り上げました。
実際に憂太をクラスメートに紹介する際に、担任の五条悟(ごじょうさとる)が言った「テンション上げて、みんな!!」というセリフ。「テンションをあげる」はどう訳したのだろうと思ってチェックしました。
テンションあげてよ。
英語でtensionは「緊張、電圧」などの意味があり、日本語のニュアンスとは異なりますので使用できません。この英文は直訳すると「パーティーを始めよう」なのですが、「盛り上げていこう」という感じがよく伝わってきますね。これはうまい訳ですね!筆者も覚えておこうと思いました。
憂太が教室に入って来る直前に、真希がつぶやいた独り言の「シカトこいてやろ」も訳が気になりました。「シカト」をどんなふうに表現するのかと思ったら
シカトこいてやろ。
となっていました。Gonnaはgoing toを発音したときの音をつづったもの。セリフではI’mが省略されていますので、正式にはI’m going to give him the silent treatment.です。「シカトする」を英語にしたいときには、give … the silent treatment(〔人〕と口をきかない)という熟語を覚えておくと便利そうですね。
帳を下ろす呪文
『呪術廻戦』の中では、帳(とばり)と呼ばれる結界がしばしば張られます。この帳は英語版ではcurtainと呼ばれていますが、この帳を下ろすときの呪文があります。それが「闇より出でて闇より黒く、その穢(けが)れを禊(みそ)ぎ祓(はら)え」で、さすがにこれは日常会話では使えそうもないのですが、『呪術廻戦』ファンのために英語訳を見てみましょう。
闇より出でて闇より黒く
その穢れを禊ぎ祓え
emergeは「出現する」という動詞。前半は日本語の呪文の通りに訳されていますね。purifyは「~を浄化する」という動詞。that whichのところは、わざと堅い表現で昔のことばの雰囲気を出したのでしょう。関係代名詞のwhatと同じ意味ですので、purify what is impure(不純なものを浄化する)と置き換えて、意味を取るとわかりやすいですね。日本語の呪文では「禊ぎ祓え」とありますが、英語では「禊ぐ」をメインにしてpurifyとしたようですね。
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