コロナ禍に23区を出た人が選んだ転居先トップ5 増減率1位「茅ヶ崎市」には一体何があるのか
こうまでも街の魅力を語られると思わず移住してみようかという気になってくる。しかし、すべてがいいことずくめではないはず。街の不満点、不自由な点についても語ってもらおう。
「残念な点のひとつは、市内の道が細く入り組んでいて、慣れない人には車の乗り入れが難しかったりするかもしれない。子育て世代が多く転入されてきているということですが、子どもたちへの支援制度に関しては、独自のものは思い浮かばないですね。
茅ヶ崎の市立中学校には給食がなく、学校で出るのは牛乳だけで、お弁当持参です。これは働くママたちには厳しいですよね。でもね、そういった面はあるけれど、住民も市役所の人たち(クールビズの間はアロハ姿)も親切ですし、本当に住みやすい街なんですよ」
多少の不便はあっても、それをはるかに上回る魅力と暮らしやすさが子育て世代を中心に人々を引き込んでいるのだろう。行政の担当者は最近の傾向をどう受け止めているのか。
「23区からの転出者の増加率がトップという話は本当にありがたい限りで、正直びっくりしています。コロナ禍でライフスタイルが見直されているなかで、海、里山をはじめとした自然環境の豊かさをはじめとする市の魅力を受け入れていただけたのかなと思います。
都心まで約1時間という地理的状況のなかで、ほかの都市とは違う〝ほどよいローカル感〟を気に入って転入される方も多いと聞きます。中学校の給食の件も含め、市民のみなさまの声を反映して住みやすい街づくりを進めていきたいと考えています」(茅ヶ崎市秘書広報課)
転入者と旧来の住民が融合して新たな湘南文化が生まれていくのか、注目したい。
秋葉原から25分、5年連続人口増加率日本一
「都心から一番近い森のまち」を謳う千葉県流山市。人口減少社会のなか、「人口増加率5年連続日本一」で注目を浴び、流山おおたかの森駅一帯を「千葉の二子玉川」と呼ぶ人もいる。
東京の秋葉原駅からつくばエクスプレス(TX)快速で約25分、南北7km、東西5kmの緑豊かな千葉県北西部の住宅都市で、流山おおたかの森駅近くにはオオタカが生息する市野谷の森がある。
かつては団塊の世代の割合が全国平均よりも高かった都市が、今では「子育て世代の街」の代表格として知られる存在になった。その変貌ぶりについては、この間さまざまなメディアで取り上げられているので、ここでは子育て世代を引き寄せた政策に注目したい。
流山市の変革が始まったのは2003年に民間出身の井崎義治氏が市長になってからだ。2004年には全国で初めてマーケティング課が創設され、TX開業5年後の2010年から「母になるなら、流山市。」というキャッチコピーで、首都圏の駅で子育て世代をターゲットにしたプロモーションを展開してきた。流山市に転入した子育て世代の約5割は、転入前にこのプロモーションを知っていたという調査結果もある。
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