コロナ禍に23区を出た人が選んだ転居先トップ5 増減率1位「茅ヶ崎市」には一体何があるのか

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もちろん、プロモーションだけでなく、実際の子育て世代に向けた支援政策が多くの転入者のハートをつかんだ。代表的なものが保育施設の拡充だ。人口が急増するなか、毎年2000人ほどの新生児が生まれる状況が続いている。

市内の認可保育施設の数は、全部で100カ所(2022年4月新規開設施設を含む)。この20年間で6倍以上に増えたという。その結果、2019年度42人、2020年度26人だった待機児童数が2021年度(2021年4月1日時点)ではゼロを達成した。

保育施設の拡充だけではない。流山おおたかの森駅と南流山駅周辺に「送迎保育ステーション」を設置し、ここからバスで子どもたちを各保育施設に送迎するというサービスを行っている。これにより自宅から離れた保育施設へ通うことも可能となり、待機児童ゼロにつながった面もあるとみられる。

もうひとつポイントとなっているのが保育士就職支援制度だ。正規保育士に対しては、施設からの給与とは別に、市からの給与上乗せ補助金が月額4万3000円交付される。さらに市内の保育施設が保育士のためにアパートなどを借り上げた場合の家賃補助がある。それだけではない。毎年4月、市内の私立保育所、認定こども園、小規模保育事業所に新規採用された保育士には30万円(新卒の正規保育士)の奨励金が支給されるのだ。

人口急増に課題も

おしゃれな街並みに豊かな自然、そして充実した保育環境で子育て世代を吸引してきた流山市だが、あまりの人口急増に課題も抱えている。

最大の問題は急増する生徒を抱える小中学校だ。現在、市内には17の市立小学校、9つの市立中学校がある。市立小学校は2024年度にさらに2校が新設される予定だが、今後の児童・生徒数の推計・想定値をみるとかなり厳しい状況が浮かび上がってくる。

例えば、「おおたかの森小学校」は、2021年4月1日現在の全校児童数は1512人で学級数は50。文部科学省の学校規模の標準からすれば「過大規模校」となる。1年生は286人で9クラス編成となっているが、2022年度は1年生が347人で10クラス、全児童数1633人、そして2024年度は366人で11クラス、全児童数は1900人と見込まれている。

大規模校や過大規模校ではどんな事態が懸念されるのか。文科省の資料によると、学校行事で役割分担のない子どもが出てしまう点や児童・生徒間の人間関係が希薄化、運動場など施設使用の調整困難などが挙げられている。

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