白紙に戻った横浜ベイスターズ売却、TBS交渉決裂の裏側
プロ野球、横浜ベイスターズに浮上していた売却問題で、球団を保有するTBSホールディングスと住宅設備大手の住生活グループは10月27日、交渉を打ち切った。広告収入の減少などで2009年度に約23億円の最終赤字を計上したTBSは、毎年約20億円の損失補填をしている球団の売却を画策。今年1月に立ち上げた新ブランド「LIXIL(リクシル)」の知名度向上を図りたい住生活グループと9月上旬から話し合いを進めていた。
打ち切り発表と同日に開かれた会見で、交渉を担当した住生活グループ傘下トステムの溝口和美副社長は「ぎりぎりまで検討したが、合意に至らず非常に残念」と語った。
本拠地の移転で対立
ただ決裂の主因について、溝口副社長は「諸条件で折り合えなかった。守秘義務があり、これ以上話せない」と詳細を明らかにしなかった。が、関係者によれば「交渉の終盤になって住生活側が本拠地を移転したいと申し出た。そこから両社に亀裂が生まれた」という。住生活側は新潟や静岡を候補地として検討していたようだ。
野球協約では、来シーズンに向けて本拠地を変更をする場合、10月末までにプロ野球実行委員会とオーナー会議の承認が必要。TBSは移転の手続きが間に合わないことなどを理由に申し出を拒否。少なくとも来年1年間は横浜へ残留すべきと主張した。破談を発表する前日には、TBSの財津敬三社長と住生活グループの潮田洋一郎会長が数時間のトップ会談を行ったが、溝は埋まらなかった。
交渉の決裂を受け、財津社長は「引き続きオーナー企業として力を尽くす」と語った。収益の改善には3年連続で最下位に沈んだチームの強化など抜本的な再建策が必須。だが売却の「意思」を明らかにした以上、TBSが本気で改革に取り組むとは考えにくい。