日本人は自分たちのルーツを知る必要がある 日本の歴史を知らずして、グローバルな活躍はできない

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それに対して日本では、学校で日本神話を教えるようなカリキュラムは組まれていませんし、書店に行っても日本神話について書かれた絵本や書籍を目にするのは、非常にまれなことです。日本人が子どものころから自分たちのルーツを学ぶ機会を与えられていないのは、非常に気の毒なことなのです。

国の成り立ちを、物語で読むことの重要性

それはともかくとして、日本神話について学ぶのであれば、まずは日本最古の歴史書である『古事記』や『日本書紀』を読むことから始めるべきでしょう。

これら二つの歴史書は七世紀後半に天武天皇の命によって編纂され、八世紀初めに完成しました。天地の創造から神々の時代を経て、天皇家の歴史までが記されています。

たとえ史実ではない神話であっても、日本の国の成り立ちを物語で読むことによって、私たちの国がどのように形づくられていったのかを理解することができます。そこから、日本人の民族性も読み解くことができるようにもなります。

聖徳太子は和を説いた(アフロ)

これらの歴史書をありのままに読めば、日本は禅譲という形で国の支配権が受け継がれてきたことがわかります。

西欧諸国をはじめ、その他の国々では、国の支配権が移る場合、ほぼ決まって新しい王朝が古い王朝を征服するという形をとっていました。ところが、日本では、話し合いで古い王朝から新しい王朝への国譲りを行ってきたのです。

その代表的な神話として、天上界にいる神々が「地上界を支配するべきは、天照大神(アマテラスオオミカミ)の子孫である」とし、地上界を治めていた大国主命(オオクニヌシノミコト)との話し合いによって、戦争をすることなく国を譲り受けたという話があります。天照大神は天皇家の祖先神として有名です。

そういった神話の内容を知れば、やはりといいますか、私たち日本人がけっして争いを好まず、何事においても平和的な解決を望む民族であるということが、はっきりと認識することができるでしょう。

「日本とはどういう国なのか?」「日本人とはどういう民族なのか?」という問いに対する答えは、まさに『古事記』や『日本書紀』に書かれている神話の中に端的に表れているのです。すなわち、「日本は〝和〟を重んじる国である」「日本人は〝和〟を大切にする民族である」というわけです。

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