コロナ禍をきっかけにデジタル化が急ピッチで進み、半導体需要は高まる一方である。アメリカの調査会社ICインサイツによれば、世界の半導体市場は2021年に25%増えて5000億ドル(約57兆円)を超え、今年はさらに11%増が見込まれている。
繰り返しになるが、半導体の製造には純度の高い超純水が必要だ。水に溶けている不純物を徹底的に取り除くためである。イオン交換樹脂や分離膜を用いたり、膜の外側を真空にすることで水に溶けているガスを取り除いたりと、物理的な処理、化学的な処理を組み合わせる。
超純水は最新の技術・装置を組み合わせて作られるが、半導体の性能が上がるとともに純度の高さも求められる。現在最先端の半導体は回路線幅が5nm以下という微細さで、わずかな不純物の存在が製造時の良品率に影響するためだ。
性能向上でさらに水が必要になる
今後さらに半導体が高性能化し回路線幅が小さくなると、不純物を取り除くための水使用がさらに増える。次世代チップは1.5倍の水を消費すると予測されている。
こうした中、半導体工場は、水のリサイクルや省資源化を進めている。例えば、半導体工場で洗浄に使った水を可能な限り回収して元のきれいな超純水に戻したり、水処理薬品もセンサーを使って最適な量にコントロールすることで使用量を減らしたり、排水に含まれるフッ素やリンなどの有効成分を回収して再利用したり、といった技術開発が進んでいる。TSMCも2016年には水の浄化とリサイクルの改善に取り組んでいた。
気候変動により世界的な水不足が懸念される中、今後半導体をいかに確保するか、という問題は日本の産業界にとっても大きな課題だ。地下水を活用する場合、市町村の枠を越えて保全と活用を行う熊本の取り組みは参考になる。3月22日の「世界水の日」のテーマは地下水マネジメントであり、4月下旬には熊本市で「アジア・太平洋水フォーラム」が開催される。熊本の水に世界が注目するだろう。
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