ボルヴィックだけじゃない!日本の水源枯渇危機 いったん枯渇すると復活するには時間がかかる

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日本では昨年末でボルヴィックの出荷は終了している(写真:Koichi Kamoshida/Bloomberg)

フランス産のペットボトル水「ボルヴィック」(ダノン社)の水源枯渇が報じられている。周辺の川が干上がり、農業ができなくなるなど問題が出ており、ボルヴィックの工場が水をくみ過ぎたことが原因とされている。日本で人気のあったボルヴィックだが、すでに2020年末で出荷終了となっている。

ボルヴィックの水源(採水工場)は、フランス中央部、オーヴェルニュ火山自然公園の北端に位置するボルヴィック市にある。フランス政府は2014年以降、ダノンに年間280万立方メートル(1リットルボトルで28億本分)の採水を許可。採水工場では、地下100メートルの深井戸から水をくみ上げている。

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浅い場所にある地下水と、深い場所にある地下水は、雨水がその場所まで浸透する時間が異なる。浅い場所は比較的早く浸透するため天候の影響を受けやすい。雨が多いと地下水量は増え、少ないと地下水量は減る。一方、今回のような深い場所にある地下水は天候の影響を受けにくい。水量が減った原因が、天候のせいとは考えにくい。

地下に蓄えられている水は地表にある水の100倍

メキシコのなぞなぞに、「土の中に家があり、地中に王国がある。天にも登るが、再び帰ってくるものなあに」というものがある。

答えは「水」で「地中の王国」とは地下の帯水層をさす。この巨大な貯蔵庫に蓄えられる水は、地球の表面にある水の100倍。雨水が地中にゆっくりとしみ込んで蓄えられる。だが、たまるのを上回る早さでくみ上げたら、地中の王国は空っぽになり、枯渇、塩害、地盤沈下、砂漠化などを引き起こす。

飲料メーカーは、世界各地で良質の地下水が湧き出る水源を購入している。井戸を掘るために土地を買い、水をくみ上げ、そして水が枯渇したらあっさりと移動してしまうケースも。そのため、企業と地元住民とのあいだでトラブルが発生することが過去にもあった。

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