「夜中に揺れる」「家の中まで下水の臭い」 発生から3カ月、報道は激減でも今なお続く道路陥没事故「八潮」住民の悲痛な叫び

✎ 1〜 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 17
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
八潮市の道路陥没現場では今も通行止めが続いている(写真:筆者撮影)

埼玉県八潮市で1月28日に発生した下水道管の破損に伴う道路陥没事故から3カ月が経過した。事故現場周辺の地盤は粒が細かく水分を含みやすい脆弱な地層で形成されているため、薬液の注入や鋼製矢板の打ち込みなどで地盤を強化しながら、慎重に工事が続けられている。

下水道管内に転落したトラックの運転席部分には、現在も男性運転手が取り残されているとみられる。そのため、下水の流れを迂回させるためのバイパス管の整備や、運転席が落下している場所に到達するための工事が並行して行われてきた。4月24日までにバイパス管の整備が完了しており、現在は鉛直方向および上流側からの掘削作業が行われている。

あまり報道されない住民生活への影響

事故から3カ月が経過した現在も、現場となった交差点には巨大な陥没穴が残されたままで、道路封鎖が続いている。この影響は、近隣住民の生活にさまざまな形で及んでいる。

まず交通面では、事故現場となった交差点が市内を東西南北に結ぶ主要幹線道路に位置していたため、道路封鎖により市内全体の交通網に支障が生じた。大型トラックが生活道路へ迂回するようになったことで、日常の交通の流れが大きく変わり、「生活や仕事の動線が一変した」と語る住民も少なくない。

加えて、近隣の小学校では通学路の変更を余儀なくされている。県は安全確保のため、18カ所の交差点で横断歩道や「止まれ」表示の引き直し、ポール設置といった対策を実施した。

経済面でも影響は深刻である。事故によって出入り口がふさがれたことで、飲食店や自動車整備工場などが営業に支障をきたし、休業を余儀なくされる事例が発生している。物流や店舗へのアクセスが妨げられたことによる経済的な打撃は、地域の事業者にとって大きな負担となっている。

次ページ近隣住民たちの悲鳴はほかにも…
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事