教育や暮らしの面でも変化が現れている。通学路の変更により、児童・生徒たちの通学に不安が生じ、保護者や学校関係者の間でも安全対策への関心が高まった。また、交通の混乱や店舗休業により、日常生活における移動や買い物にも支障が出ており、地域住民のストレスや生活上の不便が長期化している状況にある。
臭いや騒音、振動など2次的な影響も
さらに陥没現場周辺では、臭いや騒音、振動といった2次的な影響も発生した。2月下旬に開催された住民説明会では、「夜中に揺れを感じて眠れない」「家の中まで下水の臭いが染み込んでいる」といった不満の声が相次いだ。
これを受けて、県は穴の一部に防臭シートをかぶせる対策を講じた。また、現場周辺の5地点では、臭気や振動の状況を毎日計測し、公表している。

測定結果によると、硫化水素濃度はおおむねゼロppm(100万分の1)の日が続いており、健康被害に直結するレベルではないことが確認されている。一方で、臭気については、日や場所によって高い値を記録する日もあり、住民の実感とも一致している。
騒音に関しては、一時的に70デシベルを超える日も見られた。これは「大きめの車が通る音」や「掃除機の近くにいる」状況に相当し、長時間にわたれば不快感やストレスを感じる人が増える水準である。
振動についても、通常問題ないとされる55デシベル以下の日が多いものの、一部の地点では60デシベル台後半の数値が継続的に記録されている。これは室内でも揺れを感じるレベルに達しており、「夜間の揺れ」「家具が震える」といった住民の声と整合している。
こうした状況に加えて、完全復旧には5~7年程度を要すると見込まれていることから、住民の負担は一過性のものにとどまらず、日常生活への支障が長期間にわたって続く可能性が高い。生活環境の変化に伴うストレスや経済的な影響が、今後も積み重なっていくことが懸念されている。補償についての議論もこれからだ。
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