ボルヴィックだけじゃない!日本の水源枯渇危機 いったん枯渇すると復活するには時間がかかる

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「余剰水」という名目だったが、実際には、水源からの90%以上の水が、町内の飲料水業者を通じて、ネスレに渡ったという。町の行為について、県有林の使用許可を与えていた県有林課は「あくまで『余剰水』の利用だから許可した。ネスレという一民間企業の利用が中心という申請だとしたら許可しなかった」としている。

ネスレは現在、同町でのペットボトル水事業から撤退しているが、町民には「町の水が無断で営利目的に使われた」「盗水だ」という声があった。

「水」で町おこしが成功したものの…

鳥取県米子市淀江町に住む男性は悩んでいる。自分の土地から湧きだす水を売って欲しいと、企業から打診された。法律では、地下水は土地所有者のものとされ、土地を取得すれば、自由にくみ上げることができる。だが、地下水脈は流域内で複雑にからみあい、ある場所で大量にくみ上げれば、ほかの場所へ影響を及ぼすおそれがある。

この水は中国地方の最高峰、大山から来ている。山麓には過去の火山活動による堆積物が厚く積もる。堆積物は水の浸透性が高く、降った雨や雪が地下に浸透し、貯留され、地下水層を形成し、さまざまな場所から湧きだす。心地よい水のせせらぎは、俣野川や船谷川、小江尾川となり、やがて日野川に注ぐ。

大山の水が、ビジネス資源として注目されたきっかけは30年前。江府町の福田正臣町長(当時)が、東京の自動販売機でペットボトル水が売られているのを見て、「水で地域おこしができないか」と考えた。1リットル容器に詰めて200円で販売すると、意外にも売上げは伸びた。3年後には町が第三セクターの水工場を建設し、生産は本格化した。

水ビジネスの活況に町は潤った。しかし最近になって、不安も広がりつつある。「いくらなんでもくみすぎではないのか」と。

全国のボトル水総生産量に占める鳥取県の割合は9.2%。山梨県の40.4%、静岡県の14.6%に次ぐ。そのうちのほとんどが、大山からくみ上げられる。山梨、静岡の水を支える富士山に比べると、大山の大きさは10分の1程度だ。

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