日本中の「ダム」が愛されスポットに転じた背景

かつては無駄使いの象徴と言われたのに

岩手県和賀郡西和賀町、北上川水系和賀川にある湯田ダム。堤高89.5mの全国でも12基、東北地方では唯一の重力式アーチダム。北上川五大ダムの1つ(写真:萩原雅紀氏提供)

2018年9月6日の北海道胆振東部地震の際、北海道放送(HBC)は厚真ダム決壊の恐れを画像とともに報じた。TBS、FNNなど首都圏の他局でも報じられたが、放映直後に間違いが指摘された。写っていたのは土地改良区が管理するロックフィル式の厚真ダムではなく、北海道が管理する建設中で試験湛水が行われていた厚幌ダムだったのである。

ニュースを受け、筆者も7日15時頃に北海道放送に電話をした。窓口の男性は間違いを指摘する電話が殺到していることを困惑気味に語り、「なぜ、そんな地図にも載っていないダムが間違えて使われてしまったことに気づく人がいるのか」と不思議そうだった。

ダムへの風当たりが強くなった頃にマニアが登場

だが、今、ダムに関心を持ち、訪れる人が増えている。2018年10月に行われた宮ヶ瀬ダムの放流イベントには愛川町が募集した800人の定員を大幅に超える2700人が応募。完成間近の八ッ場ダムでは予約不要の見学ツアーに定員の3倍超が参加するなど、その人気ぶりを挙げ始めるときりがないほどだ。

1990年代以降、特に2001年の、長野県知事だった田中康夫氏が行った脱ダム宣言や八ッ場ダム建設をめぐる反対運動に代表されるように、ダムは長らく税金の無駄遣い、自然を破壊するものとして逆風下にあった。

それがいつ、どこで転換したのか。

面白いことに現在につながるダムマニアが活動を始めたのは風当たりが強くなりだしたのと同じタイミングだった。

ダム好きの個人サイトとして草分け的存在である「ダムサイト」がスタートしたのは2000年の夏。管理人の萩原雅紀氏はドライブ中にダム建設現場に出くわし、関心を持った。ダム本体に到達できないまま、通い続けるうち、ある日、完成したダムにようやくたどりつき、衝撃を受ける。

それまでも見下ろす形ではダムを見ていたものの、本体を下から見たのは初めて。「高さ150m超、人間が作るうちでは最も巨大な建造物の1つであるダムには圧倒的な威圧感があり、ロボットアニメに登場する悪の神殿を想起させ、一目で魅了されました」。

それが今も人気の高い宮ヶ瀬ダムである。

神奈川県、相模川水系中津川にある宮ヶ瀬ダム。堤高156.0mの重力式コンクリートダムで総貯水容量約2億トンは小河内ダム、矢木沢ダムに次ぐ関東屈指の規模。 治水を主とする特定多目的ダム。定期的に観光放流が行われている(写真:萩原氏提供)
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