
水に浮く小型EV「FOMM ONE」(写真:FOMM提供)
近年の豪雨災害や内水氾濫の頻発により、都市に暮らす私たちの「移動」や「避難」も見直しが迫られている。日本各地で発生している甚大な水害を軽減するのに有効な策の1つが「浮く」ことだ。
浮くことは環境変化に適応し続けられる暮らし方の1つ。その視点で日本を見渡すと、すでにいくつもの「浮く技術」が萌芽していた。本稿では前後編の2回に分けて、住宅、自動車、そして人間について「浮く技術」の最前線をリポートする。
前編:ついに日本でも実用段階に入った!深刻化する《水害》を強靭に生き抜く「浮く家」の衝撃
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「命の時間」を稼ぐ選択肢
前編で紹介したように、住宅における“浮上型”の災害対策が注目される一方で、自動車の世界でも「浮く」ことを選んだ企業がある。電気自動車(EV)ベンチャーのFOMM(フォム)だ。
同社が開発した小型EV「FOMM ONE」は、水害時に“浮いて命を守る”ことを目的とした世界初の商用車両である。
設立の契機は、2011年の東日本大震災にある。創業者である鶴巻日出夫氏の母親は足腰が弱く、「もしまた津波が来たら、私はもう逃げられない」と語ったという。この言葉が、同氏の心に火をつけた。
「水に浮く車があれば、すべての人を救えるわけではないが、助かる命は確実にあるはずだ」――。こうして、2013年にFOMMを創業し、水に浮く電気自動車の開発をスタートした。
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