実は｢平均すると｣効果なし？ 　医師が教える｢科学的に証明されたサウナ･風呂の健康効果｣

体を温める方法が健康によいか（写真：zon／PIXTA）

入浴・サウナは健康にいい？

「体を温める方法が健康によいか」。この分野で（たぶん）一番有名な論文は、フィンランド人を対象とした研究です（※1）。

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フィンランドではフィンランド式サウナに日常的に入る文化があります。2315人の中年の方を20年間追跡し、サウナの頻度と心臓突然死発症リスクの関連性を調べました。結果、週に4〜7回入る人は1回しか入らない人と比較し、心臓突然死のリスクが6割以上低かったのです。

似た研究が日本からもでました（※2）。これは3万人の中年日本人を対象としたもので、入浴をほぼ毎日する人は、週に0〜2回しかしない人と比較し、心臓病のリスクが3割程度低かったのです。

このような研究から入浴の効果が期待されてきたわけですが、上のような研究は「入浴により心臓病を予防できるか」という因果関係を言及するにあたり致命的な弱点があります。

「元気だから入浴している」「病気になると入浴しない」という逆の因果関係をみているにすぎないかもしれないのです。そうだとしたら、上の数字は因果関係を言っているわけではないかもしれません。

つまり、「入浴することによって病気になりにくくなる」のではなく、「入浴できる元気な人は、今病気にかかっていない」という当たり前のデータを見ているだけかもしれないのです。

そこで大事なのは「ランダムに入浴するかしないか決めて、それぞれがどうなるか追跡する」というタイプの実験です。