保守化する「韓国の10代男子」に教師が語ること 男性教師がフェミニズムを教える意義と葛藤

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――それはやはり、社会的に二極化しているなど構造的な問題が10代にも影響を及ぼしているのでしょうか。

それもありますが、10代にはもう1つ要因があります。それはネットコミュニティ問題です。男子学生たちはネットコミュニティに影響されたり、依存してしまう傾向があるのですが、こうしたコミュニティの中には、女性を卑下したりするものもあり、それが自分の考えのようになってしまう傾向がある。女性や社会的弱者、低所得層とか貧困層に対して攻撃的な考えを持ってしまうのが、ある種の遊びになってしまっているのです。

チェ・スンボム/1984年生まれ。韓国北東部・江陵市の明倫高等学校教師。学生の頃は学校が嫌いだったが、なぜか先生になり、すでに11年目。大学では文学と哲学を専攻し、社会学科にも強い関心を寄せた。運良く強い女性たちに囲まれた環境に置かれ、フェミニズムを学ぶ。現在男子高で国語を教えているが、生徒たちとバスケをしているとき、教師としてやりがいを感じる。共著に『フェミニスト先生が必要』『ジェンダー感受性を育てる教育』(写真:チェ・スンボム氏提供)

――どういう授業をしているのですか。

例えば、ある文学作品の登場人物の行動がセクハラに該当するのか否か、また、女性に犯罪を犯した、犯罪まではいかないことでも、ある悪い行動をした人はどのような罪に該当するのか、といった授業をしてきました。

また、昨年使ったテキストでは、男性が女性に対して一方的に好感を示し、それに対して女性が優しく、親切には対応したけれども、これに男性が失礼な態度を取ってしまうというのがありました。こうした場合、男性にはどのような過ちがあるのか、そして、こういう状況において、男性の立場と女性の立場を両方考えてみるなど、さまざまな可能性を話し合いました。「正しい・正しくない」を決めるより、考える機会を与えるようにしています。

――男子高生にフェミニズムを教えるにあたって一番難しいことは。

学生の機嫌を損なわないこと、それが大事だと思うんですね。学生と教師のあいだで親密感が芽生えてから、関係を形成してからするようにしています。そのために、1学期はほぼ何もせずに、2学期になって十分その関係が形成した、つまり、教師が何を言おうとも学生が「この人の言葉は信頼できる」という感情ができた時に始めます。それでも3、4年前と比べて、より深い内容に入り込みにくい状況です。

教材は男子高生が好きそうなものを選ぶ

――それに応じて授業の内容は変えているのですか。

作品を選ぶ時に、より読みやすいとか、ソフトな本を選ぶようになりました。日本でも非常に有名だと思いますが、チョ・ナムジュさんの『82年生まれ、キム・ジヨン』『ヒョンナムオッパへ』は、高校でディスカッションのテーマとして活発に使われているんですけれども、その理由は両側の立場から書かれていて、その根拠がある。それで活発に話し合うことができる作品であるためです。

「俺の福岡ガイド」が収録されている『仕事の喜びと哀しみ』

昨年はチャン・リュジンさんの『仕事の喜びと哀しみ』に収録されている「俺の福岡ガイド」について話しました。この作品も10代から見て非常に面白い作品なんですよね。男子高校生が好きそうな、ちょっとエッチな内容もあって。こういう興味を持ちやすい作品でアプローチしようとしています。1年から3年をずっと担当する時には、1年生の時にはより簡単な内容をしてから、2年生になってからは文学作品とか映画作品などを取り入れて授業を進めようとしています。

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