――チェ先生や団体の先生たちもジェンダー教育を受けていないと思いますが、先生たちはどうやってジェンダーについて学んでいるのでしょう。
学んだことがないため、団体をつくって互いに勉強し合い、共有し合うことになったと思います。それぞれが授業でフェミニズムを取り入れた事例を共有したりするんですが、失敗話も多くあります。私自身も学んだことがないため、授業を準備している過程で、このような話をしてみたらどうかな、と思いついたことで計画を立てる、そのように即行的にできる教育もあると思います。
フェミニズムは「人に対する態度」の問題
――著書では「フェミニズムは女性の地位や権利向上だけじゃなくて、誰もが生きやすい社会をつくることができるためのもの」と本の中で説いています。フェミニズムというと女性のためのものと、捉える人が多いと思いますが、どういう点でフェミニズムはすべての人にメリットがあるのでしょうか。
フェミニズムは議論であり、学問であり、運動でもありますが、私は本質的には態度の問題だと思っています。つまりは人の話をきちんと聞く、ということです。自分が弱者である可能性もありますが、すべての状況で弱者ではないわけです。自分が強者になることもありますし、既得権に所属する可能性もありますよね。その時に、さまざまな弱者の話を聞く態度を持つようにする議論であり、学問であり、運動だと思います。
そのため、フェミニストの中にはヴィーガンも多くいますし、ヴィーガンの中には10代の人権のために共に闘う、また障がい者、気候変動の問題にも関心を持って活動する方が多くいらっしゃいます。つまり、さまざまな弱者の話を聞く、マイノリティに関心を持つようなものがフェミニズムであると思います。
――フェミニズムやジェンダーの話をする時に、性的マイノリティがその話から抜け落ちてしまうことがあります。先生の授業ではそういったより広い意味でのジェンダー論みたいなものも教えているのですか。
もちろん含めて授業を行っています。最近もクィアの映画を2本、学生たちと観ました。マイノリティや弱者を排除するのはフェミニズムではないと思います。そのような態度は、むしろフェミニズムがフェミニズムにバックラッシュをする、フェミニズムがただの既得権を排除するための運動であると主張する男たちに、その根拠を与えてしまうものだと思います。
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