後者の「減損損失」とは何でしょうか。工場や機械、店舗などの資産が、想定していた収益を生み出さないという場合は、価値を下げなければなりません。これを「減損」というのです。
つまり、現在の会計制度ですと、業績の悪いときは「営業損失」と「減損損失」のダブルで損失がやって来るのです。カッパはまさに、この2つに苦しめられています。
以上の結果、最終的な当期純損失は、前の期のマイナス22億円から、この期はマイナス71億円まで膨らんでしまいました。
資金をギリギリで回していた
続いて、貸借対照表(9~10ページ参照)から財務内容を見てみましょう。中長期的な安全性を示す自己資本比率(純資産÷資産)は33.5%あります。数字自体は悪い水準ではありません。
ただ、純資産の部を見ますと、利益の蓄積である「利益剰余金」が、前の期には112億円あったのが、この期は41億円まで減少しています。損失を出している分、減っているのです。
さらに、負債の部から借入金やリース債務などの有利子負債を調べますと、合計で211億円にものぼります。資産合計496億円と比較しますと、結構大きな額です。
短期的な安全性はどうでしょうか。「手元流動性(現預金や有価証券などのすぐに売れる資産÷月商)」を計算しますと、0.3カ月分になります。この指標は、大企業であれば1カ月分あれば、通常のオペレーションを行っていく上では問題ないと判断されています。カッパは非常に低いと言えますね。
ただ、一般的には小売業や外食業などの、安定して日銭が入ってくる商売は、少ない現金でも回るのです。しかし、カッパの場合は、その点を考えても低い水準ですから、ギリギリのところで回しているのだと思います。
現金及び預金の額自体も、前の期の52億円から、この期は26億円まで大幅に減少していますから、手元流動性を急激に減らしている様子が窺えます。
このような状況ですと、少し借り入れを増やして、手元流動性を高めたほうがいいと思いますが、借入金は短期と長期ともに減っています。銀行がお金を貸し渋っている可能性がありますね。
また、保有している有価証券を見ると、前の期の40億円から、この期は5億円まで減少しています。資金繰りに困り、すぐに現金化できる資産を売っている可能性があります。
そのため、短期的な安全性を調べるための指標「流動比率(流動資産÷流動負債)」も悪化しています。前の期は69.9%だったのが、この期は49.9%まで低下しています。
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