同社は業績の悪化に歯止めがかからず、財務的にも厳しくなってきているのです。キャッシュ・フロー計算書(16ページ参照)から、営業活動によるキャッシュ・フローを見ますと、前の期は57億円稼げていたのが、この期は8100万円まで急減しています。純損失を計上しているため、入ってくるお金が激減しているのです。このままでは、今後ますます安全性が損なわれていく可能性が高いでしょう。
コロワイドに勝算はあるのか
カッパの業績が急速に悪化している中、外食大手のコロワイドが同社を買収するとの報道がありました。ただ、今のところ同社は、この報道について「決定事実はない」としています。
コロワイドの業績と財務内容を見てみましょう。平成26年3月期(2013年4月〜2014年3月)決算の損益計算書(12ページ参照)を見ますと、売上高は前の期より15.6%増の1484億円。売上原価、販管費ともに微増しましたが、営業利益は45.2%増の64億円を計上しました。業績はまずまずだと言えます。
一方、カッパの売上高は933億円ですから、もし、コロワイドがカッパを買収しますと、事業規模はかなり拡大します。
続いて、コロワイドの貸借対照表(9~10ページ参照)から資産規模を調べますと、1367億円です。一方、カッパは496億円ですから、コロワイドの資産規模はカッパの2.8倍程度だということです。
安全性はどうでしょうか。コロワイドの自己資本比率は18.6%。一般的には、外食業のように、日銭が入ってくる業種は15%以上が安全かどうかの目安になります。コロワイドの場合は、安全水域ではありますが、それほど高い水準ではないと言えますね。
このような状況で、営業赤字ならびに最終赤字が続いているカッパを買収することは、はっきり言って、冒険に近い部分があるのではないでしょうか。
10月2日付の日本経済新聞朝刊「コロワイド、『かっぱ寿司』を買収」の記事によりますと、コロワイドは国内市場の縮小に備えて、顧客層の幅が広い回転寿司を傘下に入れて収益を上げる狙いがあると書いてあります。
私は、この戦略が成功するかは少し疑わしいと思います。もし、単純に事業拡大を狙っているとしても、赤字企業を買収するわけですから、一筋縄では成功しないのではないでしょうか。
一つ確実に言えることは、カッパの買収は大きなリスクを伴うということです。今のところ、コロワイドは営業黒字を確保し続けており、比較的順調に推移していますが、このままカッパを買収したところで、かなりのテコ入れを必要とすることは間違いないでしょう。
コロワイドはカッパを実際に買収するのか、そしてその場合、買収後に改革を行い、収益力を回復させることができるのか。同社の戦略に注目です。
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