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経済状況も影響していると思われるが、何より人と会えないことには始まらない、進まないのが男女関係と、その行き着く先の結婚(婚姻)だろう(写真:kapinon/PIXTA)
コロナ危機の社会への影響として、婚姻(結婚)数や出生数の低下が考えられる。感染回避のために人と人との接触機会が減少していることは、若い世代の間で出会いの機会が損なわれていることも意味する。結婚・出産の意思を左右するといわれる経済状況も、コロナ禍で悪化し回復には時間がかかる可能性がある。コロナ禍における婚姻数と出生数の推移を整理し、今後の展望について仮説的に考察したい。
重要ポイントは以下4点だ。
1.コロナ禍で婚姻数は約11万組減少
2.出生数への影響は今のところ限定的(とはいっても約1万~2万人の減少)
3.今後、「失われた婚姻」の埋め合わせがなければ、中長期的に約21万人の「失われた出生」につながる
4.仮に、失われた婚姻に行動制限政策の副作用の側面があり、失われた婚姻を今後ほかの政策で完全に埋め合わせることができない可能性があるのならば、この副作用の存在は今後の感染の波の対策に影響を与えうる(与える必然性はないが)
コロナで婚姻はどれほど減ったのか
婚姻数や出生数がコロナ危機前から減少傾向にあることは広く知られている。こうした減少トレンドに対して、コロナ禍が始まって以降の婚姻数や出生数はどう変化したのだろうか?
人口動態統計(確定値)によれば、2020年の婚姻数は52.6万組であった。これは、過去10年間の下降トレンドに従った場合の婚姻数に比べて5.0万組(8.7%)低い(図1)。
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図1 年次婚姻数の推移
(外部配信先では図表や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
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