もちろん、出会いの減少以外のさまざまな要素(例えば経済的な不安)も婚姻数の減少に影響していると考えられる。今後のデータと詳細な分析が求められる。
コロナで出生の動向に変化はあったか?
次に、コロナ禍での出生数の動向を見てみよう(図5)。
2020年2月からコロナ危機が人々の妊娠活動に影響を与えたとすると、平均妊娠期間を考慮すると、2020年11月以降に出生数への影響が出たと推定される。人口動態統計によれば、出生数は2021年1月・2月に大幅に減少している。これは第1波および第1回緊急事態宣言の時期(2020年4月・5月)に妊娠が減少したことに呼応している(図6)。ただし、2021年3月には出生数は一転して増加しており、以降、出生数が公表されている2021年11月まで回復基調である。
しかしながら、妊娠届出数データによると、公表値がまだ出ていない2021年12月および2022年1月の出生数はトレンド対比で減少が予測される。妊娠届出数が2020年5月に大幅に減少したからである(図6)。
この2021年12月の推計を含めると、出生数は2021年全体で約81万人となる見通しである。過去10年間のトレンドを約5万人(5.7%)下回る数字であるが、2019年、および2020年もトレンドから3万~4万人下方乖離していたことを考慮すると、コロナ危機の影響は約1万~2万人ほどであると言える。現時点では、コロナ危機の出生数への影響は限定的と言ってよいかもしれない(図7)。