最近、日本企業のCSRの取り組みで、NGO・NPOと協働する事例が増えている。東洋経済CSR調査で「NPOやNGOと連携している」と答えた企業は年々増加し、2013年実施の第9回では501社、調査対象に占める比率では48.6%と半分近くに達している。
ただ、東洋経済『CSR企業総覧』編集部によると、「一部を除き活発とはいえない」と、内容のレベルとしてはまだまだのようだ。
すべてのNGOを敵対者と見るのは誤り
日本では、NGOは企業を監視し、反社会的行為に対してネガティブキャンペーンや不買運動を起こすなど、企業とは敵対関係にある組織だと一面的に思われることが多い。しかし、本来NGOは市民の代表で代弁者でもある。決して過激な組織ばかりではなく、世界にはさまざまなタイプのNGOがある。
海外では日本と異なる評価を得ている場合も多い。たとえば日本で「国際環境NGOグリーンピース」と聞くと反捕鯨運動など強硬派のイメージが強い。ところが、英国では10~20年前とは違い、今ではより親しみやすいイメージを持っている人も多いという。人々の問題意識を発言するメガフォンとして機能しているとの見方すらあり、日本人が抱くイメージとは別の一面ものぞかせる。
実際、世界的にはNGOの信頼度は高い。「エデルマン・トラスト・バロメーター」という世界各国の人々の政府・メディア・企業・NGOといった組織に対する信頼度の調査がある。2014年調査では、世界全体で信頼度が高いのは、1位NGO(64%)、2位企業(58%)、3位メディア(52%)、4位政府(44%)となっている。
私が住んでいる英国をとっても、NGOの信頼度は67%で企業の56%より高い。また、NGOは一般的に活動分野の専門性が高いと認識されており、企業から専門分野のコンサルティングを依頼されるケースまである。英国・欧州企業はNGOと協働する多くのメリットを捉え、他のステークホルダーからの信頼性を高めようとしている。
信頼するものが世界の傾向とは異なる日本
そのなかにあって、世界と異なる傾向を示しているのが日本だ。信頼度が高い順に、1位企業(53%)、2位政府(45%)、3位メディア(40%)、4位NGO(37%)という結果である。
日本ではNGOがどのような活動をしているか一般には知られておらず、認知度も低い。そのため、日本企業にはNGOと積極的に協働しようという考えは起きにくいのかもしれない。だが、高い能力を持つNGOと企業の連携は、グローバルでは常識となりつつある。
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