ネスレが30万のクレームを収束できた理由

健全なNGOとの協働は、自らのブランドを強くする

このように欧州では、企業とNGOとの協働は、さまざまな形で行われている。また最近は、NGOを中心に企業数社と政府を巻き込んだ協調行動も始まっている。

NGOと協働するための8つのステップ

さて、欧州では、NGOとの協働で必要なステップは次の8つとされている。これらを検討することで、よいNGOを見つけ、さらに深い関係を構築し協働を進めていくことができるようだ。

① 企業がNGOと協働する理由を明確にする
…そもそもなぜ企業がNGOと協働することが必要なのかを社内で明確にする。NGOとの協働では、モチベーションが鍵となる。社会貢献に対する思い、リスクの軽減、良い評判の構築、協働がどう影響するか、など企業がNGOとの協働に必要な理由、モチベーションの確保が重要となる
② 適切なパートナーを選択する
…NGOとの協働の上で、まずは自社に合う適切なパートナーであるかを確認することが最初のステップとなる。お互いがフィットする部分を見つけられれば、協働作業はスムーズに運用される。すべてのNGOは、それぞれの専門分野、そして長所と短所を持っている。国際NGO、ローカルNGOのどちらが適切か、また、サービスの提供が得意な団体か、それともキャンペーンが得意な団体かなども確認する必要がある。企業が、自社の業務提携と同様に、デュー・デリジェンスの活用により可能性を絞り込むことが必要だ
③ 企業とNGOとの違いを認識する
…企業とNGOがそれぞれの言語、組織、ビジョン、価値観などの違いを認識することは、基本的な相互の信頼関係の構築につながる。海外では、企業とNGOとの違いを理解するために、NGO経験者やベテランの雇用をしている。NGO経験者は、NGOの立場を理解しているので、企業とNGOとの協働をうまく引き出すことができる
④ NGOとの協働における企業側の社内体制の整備
…NGOとの協働は、企業にとっては新しい方法・戦略であり、協働を実施するに当たっての社内体制の構築が必要となる。NGO側は、企業がこの関係を真剣に考えて社内体制を整えているかについても観察していることも忘れてはいけない
⑤ NGOとのエンゲージメントを本業へ統合
…パートナーシップは、独立したものとして維持されるというよりも、徐々に企業の機能に統合されるのが望ましい。企業のパートナーシップが機能するのは、企業の中核戦略・スキルにマッチしていることである
⑥ 企業とNGO間のコミュニケーション計画の策定
…お互いがどのようにコミュニケーションを図り、協働作業をすることが可能か、どのようにコミュニケーションを図ることがお互いにとって良い方法かを確認し、コミュニケーションに関する計画も立てることが必要だ。また、定期的なミーティングの開催は、パートナーシップが双方にとって有益か、今後の活動に向けての評価をする機会としても位置付けられる
⑦ NGOとの関係の構築プロセス、相互理解/発展の計画の策定
…NGOとの協働は一朝一夕に結果がでるというものではない。それぞれの条件、環境、興味、立場は変わっていくものである。時間をかけて双方の理解を進め、共に進化する関係を構築することが大切である
⑧ 協働事業の評価のためのベンチマークの確認
…企業とNGOは、パートナーシップの評価・見直しについても検討が必要となる。契約・覚書に再評価の項目を入れることも必要となる

(出所)Network for Business Sustainability”Partnering with NGOs: The 4 Keys to Success”を参考に筆者作成

市民社会での最先端ニーズは絶えず変化し多様化している。特に欧州では、NGOはその社会のニーズの最先端で活動をしており、NGOとの協働によって社会の変化を企業に取り込むことが容易になる。

日本では、まだNPOやNGOなどの存在感はここまで大きくない。ただ、若者のソーシャルビジネスへの関心の高さなどをみると、今後、様変わりする可能性もうかがわえる。東洋経済『CSR企業総覧』編集部によると、「2011年の東日本大震災後から企業がNPOと連携しようという意識は高まっている」と企業側にも変化の兆しがある。

近年、CSRとして事業活動による社会的課題の解決を行おうと考える企業が増えている。その際に、自社だけで取り組んでも軌道に乗るまでには多難の道が待っていよう。NPO・NGOなどの外部機関と幅広く連携することで、コスト面でも成果の面でも近道を進むことができるだろう。

社会的な基盤が異なる欧州と日本では同じようにはいかないかもしれないが、外部の力を活用するという面では今回ご紹介したいくつかの事例は参考になるはずだ。自社がなぜNGOと協働する必要があるのか、その理由を常に確認しながら、NGOとの良好なパートナーシップの構築と協働に結びつけてほしい。

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