「CSR=社会貢献」という考えは、時代遅れ 欧州がリードする、CSRの「2020戦略」とは?

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グローバル企業としてビジネスを行うには、国・地域・NGOなどと、信頼関係を築き協調することが不可欠だ。国連やISOなどからは、ビジネスと人権・労働・環境・腐敗防止などに関する基準や枠組みが発行され、世界ではCSRの重要性がさらに高まっている。特にEU(欧州連合)ではCSRに関する重要政策が打ち出されるなど、新しい動きが加速し始めている。
 だが、日本ではまだ、ごく単純に「CSR=社会貢献」だと認識している向きがまだ多い。その程度の浅い認識では、真のグローバル展開などできない。では、世界のCSRの変化にどのように付き合うべきか。このコラムでは、ロンドン在住のCSRコンサルタント・下田屋毅氏が、欧州の最新情報を交え、レポートする。
EUのCSR戦略は着々と進行中。日本はついていけるか(AP/アフロ)

CSRと聞いて、読者の皆さんは何を思い浮かべるだろうか? CSRは英語で「Corporate Social Responsibility」、その和訳は「企業の社会的責任」であり、一般的なイメージとしては、ボランティアや寄付活動、また法令順守や環境保護活動といったものではないだろうか? 「重要だとは思うが、企業の本業に関係がない、追加的に実施されるもの」といったイメージではないか。

もし、今あなたがそのようなイメージを持っているとしたら、グローバルのCSRスタンダードの認識から後れていると言わざるをえない。

「本当のCSR」とは何を意味するのか?

本来の意味でいうと、「CSRとは企業活動そのもの」と言っても過言ではない。CSRは、企業を取り巻く顧客や従業員といった、ステークホルダーからの期待やニーズに答えるために、企業戦略として対応していくものなのである。

欧州のCSR先進企業では、企業トップ、取締役会、CSR部門、従業員の「CSR」の考えが一致しており、ベクトルを合わせている。これらの企業は、従業員のみならず、顧客、コミュニティ、NGOといった社外の人々をも自社のCSR活動に巻き込み、環境・社会の持続可能性に貢献している。それとともに、中長期そして短期においても、利益を生み出す仕組みと企業自身の持続可能性も確保できると考え、活動を推進している。

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