「CSR=社会貢献」という考えは、時代遅れ 欧州がリードする、CSRの「2020戦略」とは?

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ネスレでわかる、CSRとCSVの関係

実は、欧州でもCSVを行っている企業がある。それは「ネスレ」である。同社は、自社のCSR活動の一環としてCSVを2006年から実施しており、ポーター教授らがCSVを提唱し始めたときよりも歴史は古い。スイス・ネスレ本社・公共広報マネジャーのヒラリー・パーソンズ氏は「CSVはサステナビリティ、コンプライアンスや人権の土台の上にあり、それら全体でネスレのCSR活動として構成されている」と話す(下図参照)。

ネスレのCSR活動は、「ネスレの社会ピラミッド」として3段構造となっている。いちばん上がCSV、2段目がサステナビリティ、そして、いちばん下が「コンプライアンス、人権、行動基準など」で、CSVはこの2つの土台の上にある。つまりCSVだけを実施すれば本来のCSRをカバーするものでないことは、この事例からもわかっていただけるだろう。

さて、欧州連合は政策的にCSRを実施しているとお伝えした。欧州連合としては、「欧州2020戦略」という「①知的な、②持続可能な、③包括的な、経済成長」を3つの柱とした成長戦略を策定、就業率向上、温室効果ガスの排出削減、貧困削減などの2020年までの目標を立てている。欧州連合は、この欧州2020戦略を支えるものとして「欧州CSR新戦略」を打ち出しており、欧州経済危機をCSRの活用で乗り切ろうとしているのだ。

次ページ欧州の長期CSR戦略とは?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事