なぜ欧州企業は、人権問題で先行するのか

日本企業が新興国で信頼を勝ち取るためには?

 世界でCSRの重要性がさらに高まっている。特にEU(欧州連合)ではCSRに関する重要政策が打ち出されるなど、新しい動きが加速し始めている。だが、日本ではまだ、ごく単純に「CSR=社会貢献」だと認識している向きがまだ多い。
では、世界のCSRの変化にどのように付き合うべきか。ロンドン在住のCSRコンサルタント・下田屋毅氏が、欧州の最新情報を交え、レポートする。 

近年、CSRのテーマとして「人権」が注目されている。人権というテーマは、日ごろのビジネスとは関係のないものだと思っている人が多いのではないだろうか。

一言で人権といってもセクハラ、パワハラ、長時間労働、過労死、メンタルヘルス、女性登用、障害者、LGBT(性的少数者)、部落、人種、児童労働、強制労働など非常に多くのテーマが含まれる。

まだまだ同質性の高い日本では、一部の問題に自分がかかわっている可能性はあるにしても、「人権」を身近な問題として感じられる人は少ないように思う。国籍、人種、宗教などの多様性が尊重される、ここロンドンでさえ、ビジネスにおいて人権意識が低いという批判が起こるほどだ。

なぜ企業は人権問題に取り組む必要があるのか

なぜ、企業は人権問題に取り組まなければならないのか。最大の理由は、新興国や発展途上国においては特に、事業上のリスクとなる可能性があるからだ。

人権を企業の視点から考えると、取り巻くステークホルダーの権利ということになる。従業員(労働者)、消費者、地域住民、投資家、取引先の労働者など、企業活動にかかわる人々が持つ、さまざまな権利が対象となる。

そうした権利を脅かす、賃金、差別、作業環境改善を理由にしたストライキや訴訟、児童労働、強制労働などが発生すれば、対応責任を問われる。自社工場はもちろん、サプライヤーの工場であってもだ。報道によるブランド・企業イメージの低下、NGOや地域社会からの抗議、進出先政府からの操業許可の取り消し、投資家の投資見直しなどは、企業活動に大きなダメージを与える。

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