人気化する「週休4日」の“ゆるい就職” 夢の働き方か、単なるリスクか?
岐阜県瑞浪市の出身で、都内のシェアハウスに住む山口大貴さん(25)は、仲間7人と故郷のまちおこしに取り組んでいる。人口4万足らずの瑞浪市の地場企業や商店を紹介するウェブサイトの開設準備に大忙し。取材を通じて人脈をつくり、スポンサーを集めて映画や音楽、アートを統合したフェスティバルを開くのが当面の目標という。将来のビジョンは明確だ。
「いずれサイト運営団体は法人化して、これ一本で食べていけるだけの収入を確保したい」
横浜市立大学をこの春卒業し、知人の紹介でITベンチャーに正社員として就職。だが、社長と意見が合わなくなり、2カ月ほどで辞めた。そんな時、出身中学が人口減に伴い統廃合されると知った。夏に帰省して友人たちと語り合うなかで、まちおこしを自分の人生の中心に据えようと決心した。
たぶん、人材派遣会社ビースタイルが提唱する「ゆるい就職」は、山口さんのような人にこそ向いている。
同社は7月、「“週5日勤務”の『あたりまえ』がバカらしい新卒~25歳くらいの若者限定」という刺激的なキャッチコピーで、働く人を募集した。
条件は、週休4日、月収15万円。労働時間が短いために、原則、社会保険には入れないが、なんとか自活できる収入とやりたいことに打ち込む時間だけは得られる。
仕事は「ゆるく」ない
ホリエモンこと堀江貴文さんがツイッターで「これは素晴らしいアイデア」とつぶやくなどネット上で評判になり、20代の男女が360人近く殺到した。
企画したのは慶応大学大学院特任助教の若新雄純(わかしんゆうじゅん)さん。学生でも勤め人でもない若者を集めて「NEET(ニート)株式会社」を設立するなど、多様な働き方を模索する活動を続けている。