あなたにも出来る! 社労士合格体験記(第16回)--社労士の始めは労働基準法
労働基準法は他の科目と比べると、最高裁判所の判例や行政通達などから数多く出題されるため、難関科目の一つです。対策としては過去問題を中心に、頻出の関連問題をチェックすることが最低限必要になります。
第3条、均等待遇では「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」と規定しています。そこで争われたのが、雇い入れのときの基準です。判決では「これは、雇い入れ後における労働条件についての制限であって、雇い入れそのものを制約する規定ではない」(三菱樹脂事件)とされました。つまり判例によれば、雇い入れのときは、差別的取り扱いが可能ということになります。
行政通達の例も一つ挙げましょう。先ほどの第1条、「この基準を理由として」という部分の解釈についてです。通達では「労働基準法に規定があることが、決定的な理由になっている場合」とされています。たとえば、現在、1日の所定労働時間を7時間と定めている会社が、労働基準法に8時間以内と規定されているからといって、その理由だけで8時間に変更できません。しかし裏を返すと、「社会経済情勢の変動等の理由による労働条件の低下」、すなわち、経済環境が悪くなってやむをえず変更する場合は、認められるということになります。
次回は、NHKの仕事がスタートします。
【毎月第2・第4火曜日に掲載予定】
翠 洋(みす・ひろし)
1958年愛知県生まれ。国際基督教大学教養学部卒業後、ラジオたんぱ(現・ラジオNIKKEI)入社。番組制作、報道、出版事業などを経て45歳で退職。延べ1年半の失業期間の後、NHK「地球ラジオ」の専属ディレクターとして3年勤務。その間、ファイナンシャル・プランナー(AFP)に登録。2007年4度目の挑戦で「行政書士」合格後、行政書士法人で外国人の日本在留ビザ申請代行業務に従事。「社会保険労務士」には、2008年4度目の挑戦で合格。現在は、職業訓練講師として「人事労務基礎科」「基礎演習科」などを教えている。趣味はアルトサックス演奏、温泉巡り。「語学オタク」。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら