中小企業に迫る「廃業ラッシュ」の足音 事業承継、私はこれで失敗しました
「事業承継は問題が発覚してからでは手遅れになっているケースが多い。しかし多くの中小・零細企業の経営者は目先の売り上げを確保することに手いっぱい。今後廃業が増えるのはやむを得ない」。ある経営コンサルタントはそう指摘する。
中小企業は今後10年間、本格的な代替わりの時期を迎える。帝国データバンクによると、日本の社長の平均年齢は2013年で58.9歳、1990年と比べて約5歳上昇した。今後こうした社長たちが引退適齢期に突入する。もっと平たく言えば、団塊世代の本格退場によって、中小企業の”社長不足”が本格化する可能性が高い。
それでも「前もって事業承継に手を打つ企業は少数派」(前出のコンサルタント)。対策を打っている企業はそれこそ10年、20年の時間をかけて後継者の育成に取り組んでいる。一方で何もしていない圧倒的多数の企業は「事業承継」という言葉すら認識していない。こうした二極化が現実だという。
「相続は大丈夫」と思っていたら
準備のないうちに突然降りかかる難題。そのような事業承継に失敗した例をいくつか紹介しよう。
創業100年を超える老舗、経営者は4代目にあたる。4代目には7人の兄弟がいる。リーマンショックで経営が悪化、同社は金融機関から一部債権放棄を受けたうえ、会社分割して再出発を図ることになった。だが、ここで問題が起きる。4代目の知らぬ間に株主が60人以上に分散し、株主総会が開けなくなってしまったのだ。
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