中小企業に迫る「廃業ラッシュ」の足音 事業承継、私はこれで失敗しました

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金融機関との厳しい交渉の末、ようやく会社再建に道筋をつけたのに、肝心の総会が開けない。多くは相続によって権利を取得した株主であり、自分が株主という認識がなく、招集通知がきてもほったらかしという状態だった。

株主名簿すら整備していない

中小企業の多くは株主名簿すら整備していない。知らぬ間に株主が拡散していたという事態は決して珍しくない。結局同社は何とか株主の特定ができ、最終的に会社分割によって新しいスタートを切った。

横浜で老舗と言われる同族経営の菓子メーカー。決算は赤字続きで、社長は「会社の株(自社株)に価値はなく、相続には何の問題もない」と高をくくっていた。しかし市内の一等地に店舗があり、かなりの土地の含み益があった。その含み益によって相続の際自社株の評価が高くなり、後継者は納税に苦慮することになった。

そのほか「これまで仲よく経営していた兄弟が仲たがいして、自社株の集約が必要になるケースも多い」(事業承継に詳しいTOMAコンサルタンツグループの植田旭税理士)。中小企業の経営者は事業承継の問題にいつ直面するとも限らないのだ。

来年1月には相続増税も控えている。今後本格的な代替わりの時期を迎えれば、中小企業の存続が本当に危うくなる。いまから準備が必要だ。

週刊東洋経済2014年10月18日号』(10月14日発売)の特集は、「会社の片づけ」です。経営者の高齢化、後継者不足。中小企業の”片づけ”は待ったなし。片づけてから継ぐ、売る、たたむ。親子でどう向き合うか。全38ページで取り上げました。
⇒詳しい目次の詳細・購入はこちらから

 

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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