単なるホラーではなく、濃密な人間ドラマ
現在、多くの人がイメージするゾンビ像を決定づけたのは、ゾンビ映画の第一人者であるジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)である。その10年後、同監督による『ゾンビ』が世界中で大ヒットして以来、熱心なファンを獲得している“ゾンビもの”は、現在ではジャンルのひとつとして成立していると言っていい。
だが、これまでは映画やゲーム、コミックなどが主流であり、一部のジャンルのファン、マニアのものだという認識が強かった。その垣根を取り払い、より広く一般化させたのがTVシリーズの『ウォーキング・デッド』(2010年~)である。
アメリカではこの10月に放送されたシーズン5の初回で、録画視聴を含めると2200万人以上が視聴。過去最高の驚異的な数字を記録した(アメリカではデジタルビデオレコーダーの7日以内の再生数までカウントした数字が発表されている)。ゾンビやホラーとは無縁だった人やゾンビ嫌いを公言している著名人の中にも、本作だけは見ているという人が多いというのも、この数字をみるとうなずける。最大の理由は、ホラーだと思って見たら、意外にも濃密な人間ドラマとしての要素が強いからだろう。
第24回はこの『ウォーキング・デッド』を紹介しよう。映画『ショーシャンクの空に』(1994年)の監督フランク・ダラボンが企画し(製作総指揮はシーズン2まで)、ロバート・カークマンほかによるグラフィック・ノベルをベースにしたドラマである。
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