政府・日銀は欧米に対し政策ミスの危険に警鐘を

政府・日銀は欧米に対し政策ミスの危険に警鐘を

米国の金融規制改革法(ドッド・フランク法)が議会で可決されたのは6月25日未明のことだった。1930年代の大恐慌の反省から、銀行と証券を厳しく分離した「グラス・スティーガル法」以来の大幅な金融制度改革。金融活動の次の時代を画するものといえるだろう。

だが、同改革法をめぐっては懸念も尽きない。その理由を端的に言えば、次の時代はいまだ遠い状況にある、ということである。同改革法は「再び、金融危機を発生させない」ことを大目的としているが、残念ながら、今は危機の真っただ中だ。危機の渦中で採るべき政策と、危機を発生させない方策とは、まったく性質を異にする。これを間違えると、逆治療による悲惨な結果を招きかねない。

同改革法の完全実施までには長期の猶予期間が設けられた。直ちに実施されるというわけではないが、その影響は皆無ではないだろう。

ローレンス・リンゼー元米国連邦準備制度理事会(FRB)理事が、その懸念を明確に語っている。金融財政事情研究会主催のパネルディスカッション(7月22日)で述べた、次のような言葉がそうだ。

「今後、政令など数多くの細目が決定されるまで、銀行は与信に対して、極めて慎重にならざるをえなくなる」

同改革法の政令は250項目にも及ぶといわれている。銀行実務を規定するのが政令部分にあるとすれば、リンゼー氏が指摘するように、今後、米国の銀行は暗中模索となって活動がシュリンクしかねない。銀行活動が萎縮すると、実体経済へのマネー供給も細らざるをえなくなる。金融・経済危機に対する対策として欠かせない資金供給が期待できなくなる。

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