政府・日銀は欧米に対し政策ミスの危険に警鐘を

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 これに対し、日本銀行は8月30日、臨時の金融政策決定会合を開催し、固定金利方式の共通担保資金供給オペ
レーションについて、従来の「期間3カ月物、20兆円」を確保したうえに、「6カ月物、10兆円」を加える追加的な措置に踏み切った。

まずはその効果を期待したい。しかし、今回の円高が米国、欧州の経済悪化に起因しているとすれば、追加的措置は円高によるダメージの緩和にはなっても、円高是正になるとは考えにくい。やはり、米国、欧州における、これ以上の経済悪化を食い止めることのほうが重要だ。

この点、ある有力外銀の幹部は「欧米は、日本の金融危機を学んだというが、収束したかに見えた危機が波状的にやってくることまでは学んでいない」と指摘する。そうだとすれば、欧米政府は危機の先行きを楽観視していたことになる。

その楽観の上に米国金融規制改革法、あるいは、新たな銀行自己資本比率規制の議論があるとすれば、根本的に治療方法が間違っているということにもなる。この懸念が現実化したとき、欧米の経済はさらに混乱を来し、わが国は今よりも厳しい円高に襲われかねない。

円高下で、政府・日銀には内向きな圧力が加わりがちだが、この局面では金融危機を経験した国として、ぜひとも、欧米に向け、処方箋ミスのリスクへの警鐘を強く打ち鳴らしてもらいたいものだ。

(シニアライター:浪川 攻 =週刊東洋経済2010年9月18日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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