政府・日銀は欧米に対し政策ミスの危険に警鐘を
ところが、ここに問題が発生しかけている。深刻な不況の中で、MMFの利回りは極めて低い水準となっている。「もし、政策金利が引き下げられ、それを反映してMMFの利回りがさらに低下すれば、投資家は一挙に買い戻し要求に動きかねない」(米系銀行)と言う。
要するに、MMFの解約行動が拡大する危険性を否定できなくなっているということであり、そうなれば、これまでCP発行による資金調達をMMFに依存してきた銀行にはその余波が及ぶ。CP発行がままならなくなり、銀行は流動性危機に直面する。
銀行が流動性危機に直面すれば、銀行の与信能力、つまり、貸し出し能力は弱まらざるをえない。経済全般に信用収縮が再燃しかねない。
処方箋ミスは円高誘発
そうした米国経済の懸念は対岸の火事では済まない。わが国にも影響が押し寄せてくる。たとえば、今回の円高進行もそうだ。今回の円高はわが国にその原因があるわけではなく、米国、欧州の経済悪化がドル安、ユーロ安の背景にあるとみられている。自国経済の悪化を輸出拡大でカバーしようとする、自国通貨安誘導策ではないかという見方すらあるほどだ。もし、そうであれば、保護主義的傾向であり好ましいことではないが、とにかく結果として、円相場は1ドル=83円台まで上昇し、わが国では輸出産業などから悲鳴が上がり始めた。
そこで、湧き起こったのが、追加的な金融緩和策の実施と円高阻止の為替介入が必要であるという主張だ。