図表5【ターゲット大学への特別な施策として重視していること】
この争奪戦は年を追って厳しくなっている。「2011年度ターゲット大学、学部、学科に対する採用の手応え」調査を見ると、質量ともに満足している企業は1割を切っている。「量は問題ないが質で苦戦」という企業が44%と半数に近いが、これは「母集団は確保できるが、その中の質の高い学生の確保に苦労する」という意味だ。
企業はどのような施策で「苦戦」を乗り切ろうとしているのだろうか。
就職部(キャリアセンター)訪問、研究室訪問、リクルーターの派遣、インターンシップによるコンタクト、大学内セミナーの実施などである。
学生とコンタクトすることに大きな効果があることは、第50回「社員との接触によって好感し、応募する学生」で述べたとおりだ。
心理学を持ち出すまでもなく、人は知っている「ヒト」「コト」「モノ」に好感を持つものだ。出身地が同じだと親近感を抱く。趣味が同じであれば「いい人」と思い込む。同じスマートフォンを使っていれば、その話題で盛り上がる。
ポイントは実際に会うこと、話すことだ。どんなに偏差値の高い大学でも学生は学生である。20歳過ぎの若者にすぎない。会って話せば親近感を抱く。その人事がキャリアセンターの課長と知り合いだったり、指導教授と面識があったりすれば警戒感も薄まる。
ただし、第51回「研究室訪問、リクルーター制に多くの企業は断念」で述べたように実行している企業は少ない。大企業ほどリクルーターを養成し、大学、研究室を訪問して学生とのコンタクトに熱心だが、規模の小さな企業になると実施率は下がっている。
確実に効果のあることをなぜやらないかの理由については、「予算不足」「人手不足」という回答もあるが、どの都道府県の企業であっても地元大学を訪問する時間はあるはずだ。実施しないのは、「経験がない」「大学訪問、研究室訪問を知らない」に加えて面識がない大学や研究室に行くのが「面倒だ」ということかもしれない。
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