ターゲット校を設定している企業は全体の33%。そして設定企業がターゲットとする大学数は「1~10校」が58%、「11~20校」が24%。両者を合わせると8割以上だ。「21~30校」まで広げると9割を超える。
8月に公表された平成22年度学校基本調査速報によれば、現在の大学数は昨年より5校増えて778もある。その中での20校、30校と言えば、旧帝大クラス、早慶クラスを合わせて20校。ターゲット校はコンタクト困難層だから、理系大学を合わせると30校くらいの数字になる。つまり非常に限られた大学であり、現在の778大学のほとんどは対象から外れている。
3分の2の企業がターゲット校を設定していない事実にも目を向ける必要がある。上位校の学生はいらないという企業はないから、「欲しいが、実際には実績もないしアプローチ手法もわからない」という理由ではないかと思われる。
つまり多くの企業が「欲しい」ターゲットに対する採用戦略、戦術を持っていないのではないだろうか。
ほかにも理由はあるかもしれない。中には「東大、東工大レベルになると、どう扱っていいのかわからない」という企業もある。北関東地方にある地方優良メーカーに、東大機械工学の学生からの応募があったことがある。もちろん初めてのことだ。しかしその企業は断った。学生はその県の出身で親と同居して働きたいという志望動機だったが、その企業が採用してきたのは地方国立大学や私立大学、そして高専。取締役クラスの出身大学も私立大学がほとんどで、東大のようなエリート校ではない。そういう企業では東大は「扱いに困る」のだ。
●ターゲット大学へのアプローチで工夫する企業
企業にとって最も大きな採用課題は、「ターゲット層の選考への誘導方法」だ。ほかにも「ターゲット母集団が不足」「リクルーターや面接官」などのターゲット層に関する項目が多い。ターゲットとは「欲しい学生」を意味し、「優秀学生」と同義語だ。そして優秀学生は上位校(高偏差値大学)に多い。
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