締め切りぎりぎりに作って、すぐ世に出す--『871569』を書いた箭内道彦氏(クリエーティブディレクター)に聞く

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--「くやしさ貯金」が貯まった人にはよくわかる本と、自己診断していますね。

芸大にどうしても行きたくなって、4回受けて4回目で入った。だが、芸大を落ちるたびにどんどん視野が狭くなって、入れたら俺の人生、もうそれでいいやみたいに。自分にしか描けない絵がわからないし、自分が何をやりたいのかもわからないうちに、大学の4年間が終わった。

アンチと言っていると格好がいいみたいなところがあって、とかく逆を選ぶ習性がある。巨人ではなくて阪神が好きとか、一般大学に行かずに美大に行くとかもそう。周りが就職しないで芸術家として生きていくと聞くと、ではもっとたくさんの人にわかる芸術と反対の仕事に就こうと、広告の世界を選ぶ。ただこれも、たまたま行けた感じだった。

--博報堂で在社13年のほぼ半分は空白の時だったとか。

本当に空白。スターが集まったクリエーティブチームでないところに配属されたこともあるが、自分で自滅していた。広告やデザインはこうでないといけないと考えすぎて、どうしていいかわからなくなった。今振り返ると、周りが悪かったわけではなくて、自分で自分をなくしていた7年間だった。

--その後、変化を遂げます。

会社の同期や後輩が活躍しているのを見て、気が狂いそうになるぐらい実は焦ったりしていた。変化の理由はいろいろあるが、金髪にしたというのがいちばん大きい。金髪なのにろくなものを作ってなかったら、なんか格好が悪い。そう言われないものを作ろうと自分を追い詰めることができた。

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