セブン-イレブン、勝ち続けられる理由とは? 増税後も独り勝ち、鈴木敏文会長に聞く

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5年後のセブングループは?どんな将来を描いているのか。

だけど勤め人だったら(銀行に行く時間がなくて)大変だなと思った。想像力というほどの話でもない。食事の宅配だって、年配の人が一人で毎日食事を作ったり、共働き夫婦が夜帰ってから食事つくったりするのも大変だろうと考えた。たまにはお弁当で間に合わせられたら、息抜きもできるだろう。もちろんやってみてすぐに軌道に乗るわけではない。でも障害は取り除いていけばいい。

前から言っているように、セブン-イレブンの店はよく見るけれども、同業他社の店を見たことはない。僕はマーケットの変化に対応する店を作っているわけで、同業他社との競争ではない。過去にスーパーがそうした競争をやってきた。その結果、価格競争に陥っておかしくなってしまった。そういう教訓があるから、同業他社を見る必要はない。他社と比べても日販(一店あたりの1日の平均売上高)で10数万円の開きがある。それはマーケットを見つめているからで、同業他社は関係ない。

サボるとすぐにドロップアウトする

――コンビニ以外のグループ企業の戦略は?

そごうなど百貨店はこれからは卸問屋頼みではだめ。PBに注力させている。過去に売り手市場であったときは問屋に発注した商品を売ってきた。楽してやってきた。その癖が抜けない。セブン-イレブンの場合は問屋に頼んでも商品が入って来なかった。どんぶりやハタキを並べて、食べ物だったらおにぎりやカップラーメンを置いた。何を取り扱ったらいいか自分たちで開発してきた。一方、百貨店はメーカーや問屋に頼めば商品が入るという癖が抜けない。これからはいくつか潰れていくと思う。自己差別化できた百貨店だけが生き残る。

――これからセブングループはどうなっていくのか?

5年後のことはわからない。ある程度見通して仮説を立てて、変化に対応できればどんどん伸びていく。ただそれをちょっとでもサボると、すぐにドロップアウトする。だから常に神経を張り詰めて世の中の変化を見定めながら、一歩一歩進んでいく以外にない。

(撮影:風間仁一郎)

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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