セブン-イレブン、勝ち続けられる理由とは? 増税後も独り勝ち、鈴木敏文会長に聞く
目の前のことに合わせない。将来を考える
――最近では地域に合ったサービスの提供も強化している。
昔は東京で売れてますと言うと、地方でも売れた。スーパーでもファッションでもそう。でも今はむしろ、地方の人はローカルのもの(を欲しがる)。物産展なんかには結構たくさんのお客さんが集まる。そばやうどんが関東と関西では味が違うというのは有名な話だが、ほかの商品だって同じような違いがたくさんある。(地域別の取り組みを)実際にやってみて、効果も出てきている。
世の中は変わるから、人口が減るならそこにチャンスがある。一番わかりやすいのは老齢化。歳をとると食べる量が減り、好みの味も変わってくる。すると加工技術や調理方法も変えなくてはならない。それと、主婦や若い人で免許を取らない人が増えている。年配の人も運転をしない。すると(郊外の)ショッピングセンターの需要がなくなる。
その代わりに生まれてきたのが宅配サービスだ。われわれが行っているセブンミール(食事宅配サービス)は、もう10年も前にやれと言った。みんな最初はブーブー文句を言って、私の耳にまで聞こえてきた。だけどやりなさい、必ず必要になるからと言った。そして今、これが伸びている。目の前のことに合わせてはダメ。将来どうなるのかを考えなければいけない。人口が減る、老齢化する、一つ一つ対応していけば多くの仕事が生まれてくる。
商品寿命は富士山型→茶筒型→ペンシル型
商品の寿命もどんどん短くなっている。昔は富士山型で、その後は茶筒型、今はペンシル型でさっと出てさっと消える。これは今後も続く。今日も僕は、たらこのおにぎりを試食した。たらこのおにぎりは前からあるが、新しく出したものは本当にやわらかくほぐしてあり、同じたらこでも全然違うものを食べている気がする。そういうふうにどんどん研究しながら変えていく。
おいしいものは飽きる。たとえ一流のレストランの食事だとしても、毎日同じものを食べていたら飽きてしまう。こうした状況に対応していくために、ベンダー(商品を製造・供給する企業)にも常に技術開発が求められる。一般的には資本を入れて、工場を押さえたりするが、われわれは食品ベンダーに積極的に資本を入れない。なぜなら、ベンダー側にセブン-イレブンやイトーヨーカ堂との取り引きをしたくないと思ったらいつでも切ってください、と。一方でわれわれも、皆さん方にいい商品をつくっていただけない、注文したことをやっていただけなかったらお別れします、と。要するにお互いに緊張感が必要だ。
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