再燃必至の日米対立 同盟深化を優先せよ
日米両国は、沖縄の基地問題をめぐり再び激しい対立に向かうかもしれない。対立を望まないのに、防ぐ手だてがないからだ。
ワシントンでは、政府・議会からメディア、シンクタンク関係者に至るまで、日米同盟を非常に軽く見ている。日本の政治が不安定で、安全保障問題に対する公約がぐらついているからだ。
ワシントンで一般的に予想されているのは、9月の民主党代表選挙で菅直人首相が代表に再選され、首相の職にとどまるというシナリオだ。ただし、次期内閣では、小沢一郎前幹事長の支持者に、今までより多くのポストを割り当てねばならなくなるだろうとも予想されている。注目されているのは原口一博総務相であり、菅氏のライバルとして浮上してくる可能性が最も高い。菅首相を、政界再編劇の中での暫定的なリーダー以上の存在だと見ている人は、オバマ政権の中にはほとんどいない。
そのときまで首相の座にあるとすれば、菅首相は、9月の中下旬に開催される国連総会の前後に、オバマ大統領と会談することになりそうだ。オバマ大統領は鳩山由紀夫前首相にはかなりそっけない態度で接したが、菅首相および民主党との間で「リセット」ボタンを押したがっているらしい。オバマ大統領は、沖縄の海兵隊基地移設問題が長期間未解決の状態に置かれたままでは、日米安全保障条約が署名されて50周年に当たる今年、これを真に祝うことができないのかもしれない。
行き詰まる普天間問題
論争の的となっている米海兵隊普天間飛行場の代替施設建設計画は、日米同盟に暗い影を落とし続けている。日米両国は5月28日の共同声明で、新たな施設の建設地、設計、工法を8月末までに確定することでいったん合意した。