再燃必至の日米対立 同盟深化を優先せよ

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 ところが、沖縄が強く反対しているため、この期限には間に合わないだろう。米国政府には、この現実が徐々にわかり始めている。カート・キャンベル国務次官補、チップ・グレグソン国防次官補、両氏のスタッフを含め一部の政府高官はこの現実を受け入れている。

菅首相と仙谷由人官房長官は、この問題への対処の仕方について、鳩山前首相よりも格段に有能といえる。鳩山氏は、前もって問題解決のための方策を練り上げずに、普天間移設計画に異議を申し立てたことで、沖縄でくすぶり続けていた火に政治の油を注いでしまった。

米国政府は、鳩山氏が解決策を見いだすのを手助けすることなく、逆に、2006年に合意に達し、オバマ政権が09年に確認した当初計画案を推進するようかたくなに主張し、問題をこじれさせた。この問題も一因となり、鳩山政権は崩壊した。

菅首相と仙谷官房長官は、5月28日の合意に対するコミットメントを繰り返し表明してきた。しかし一方で、沖縄との協議を避けて単純に解決を押し付けられないことも明らかにしてきた。新たな施設の建設予定地である名護市の市議選(9月12日)と11月の沖縄県知事選挙では、計画に対する沖縄の人々の反対の意思を確認することになりそうだ。

オバマ大統領は11月のAPEC首脳会議に参加するため訪日することになっているが、この問題はそれまでにも解決されそうにない。

キャンベル氏もグレグソン氏も、沖縄問題の行き詰まりはわかっている。最終的な結論は、長期にわたり先送りせざるをえなくなるだろう。彼らにはその用意ができている。

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