再燃必至の日米対立 同盟深化を優先せよ

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 中国政府は、南シナ海およびその周辺地域を中国が内海のように扱うのを、事実上米国が是認するかどうかを見極めるために、この地域で米国政府(および日本政府)を試している。北朝鮮に対するメッセージは、3月に韓国の哨戒艦を正当な理由なく沈没させた事件の繰り返しは決して許さない、というものだ。

皮肉なことに、これらの取り組みにおいて日本は完全に米国に協力してきた。実際、米国の東アジアにおける兵力展開の生命線である原子力空母ジョージ・ワシントンは、横須賀海軍基地の新たな施設を拠点に活動している。ジョージ・ワシントンに配属された第5航空団は、岩国の米海兵隊基地に20億ドルで建設されたばかりの施設を拠点に活動している。資金の大部分は日本が提供した。

普天間をめぐる無用なごたごたは、日米軍事協力の強化に暗雲を投げかけた。問題の再燃は、将来の協力関係にとって妨げとなるだけだ。

何とかして、米国は普天間問題について柔軟性を示さねばならなくなるだろう。問題は、オバマ政権が現実をすんなりと受け入れるかどうかだ。それとも、米政府高官がこの問題を重視するようになるには、両国間に緊張を生むもっと深刻な出来事(日本での再びの政権交代?)が必要となるのだろうか。

普天間問題を一時棚上げにし、日米間の広範な軍事協力を強化・拡大し、日米同盟にとっても、この地域や世界の安定にとっても、非常に有用な役割、使命、基地整備、戦闘能力向上のための計画策定に集中する時期は、とっくに過ぎている。

(ピーター・エニス、在ニューヨーク =週刊東洋経済2010年8月28日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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