「ITエンジニア」と一言で言っても、さまざまな職種があり、未経験者をほとんど採用していない職種、未経験者は新卒枠のみというものもある。年収も、未経験者として就職した場合、そこまで高くない。リモートワークを期待して就職を希望する人も多いが、入社時点からリモートワークできる職場も限られている。
このような「IT就職のイメージギャップ」が生じてしまうのは、SNSやネット上で情報収集していることが関係していると思う。ITスクールやインフルエンサーが発信している情報には、「商業的に誇張されている情報」も多く、実態とは異なるイメージを抱いてしまう人もいる。IT就職の実態を把握し、現実的な就職活動を行うことが就業後のミスマッチを避けることにもつながると考えている。
この記事では、そのようなギャップを解消するため、現役エンジニア102人にアンケートを取ったデータを基に、IT就職の実態を解説していく。
調査対象人数:102人
・調査対象者の職種(複数回答):フロントエンドエンジニア55.9%、サーバーエンジニア65.7%、スマホアプリ開発16.7%、インフラエンジニア27.5%、データベースエンジニア27.5%、その他2.0%
・調査対象者の雇用形態(副業等による複数回答を含む):正社員49.0%、フリーランス・副業55.9%、経営者9.8%、派遣社員・契約社員4.9%、アルバイト2.0%
・調査対象者の経験年数:3年未満12.7%、3~5年13.7%、5~10年12.8%、10年以上60.8%
「誰でもなれる」が、事前学習は必要
ITエンジニアには「誰でもなれる」という情報をよく目にする。たしかに未経験者向けの求人があることからもそれは事実だと言える。未経験者の採用は、新卒枠ではほぼすべての職種が対象、中途枠ではインフラエンジニアのような職種で採用が活発だ。
ただ、「誰でもなれる」とは言っても、就職するためには「ITの専門学習」が必要となる。さすがに人手不足とはいえ、全く勉強もしていない未経験者を採用してくれる企業はまれで、学習をしていないと入社後のミスマッチの懸念もあり、企業は採用を見送るケースが多い。
IT就職のための学習時間として、最も多かった学習時間は「週35時間以上(31.4%)」だった。一方、「勉強したことはなかった(8.8%)」「3時間未満(11.8%)」「3時間以上~6時間未満(14.7%)」と回答している人も一定数いる。これは「そもそも勉強が得意な高学歴」や「大学などでIT分野を専攻した人」が多く含まれていると考えられる。現場で未経験者向けのIT就職を支援していると、事前学習せずに内定を獲得できている人はほとんどいない。
また、学習方法として最も多かった回答(複数回答)は「書籍(77.5%)」となっており、YouTubeを中心とした「動画学習(eラーニング)」が普及しているとはいえ、やはり書籍を使った学習スタイルが大半を占めている。
これは幼少期より書籍(教科書)を使って勉強してきたことからの慣れもあるが、Webサービスや動画だと「情報が流れてしまう(頭に残らない)」ことも影響していると感じる。やはり、自分のペースで学習を進める上では書籍のような情報が流れず、書き込める媒体が適しているようだ。
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