3000人超を取材した男の「話の引き出し方」絶妙技 「1時間でぶつける質問の数は6つ」が適度なワケ

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相手から良い話を引き出すためにプロのインタビュアーはどうしているのでしょうか?(写真:YUJI/PIXTA)
「人見知りで口ベタなので相手に質問することが苦手だ」「初対面の相手だと本音が聞けない」「沈黙が怖くて、つい自分ばかり話してしまう」。ビジネスやコミュニケーションにおいて、大切な相手であればあるほど、そんな失敗は、つきものだ。
では初対面でも、深い話を引き出さなくてはいけない、プロのインタビュアーはどうしているのか? これまで3000人以上に取材してきた上阪徹氏は、1時間に質問が6つほどくらいが、話を引き出せると言います。上阪氏の著書『引き出す力――相手が思わず話してしまうひとつ上の「聞く力」』から紹介します。
前回:苦手な相手からうまく話を引き出せる人のスゴ技(1月1日配信)

 著名人は超多忙

「どうして、あの人からこんな話を引き出せたのでしょうか?」

同じ職業の方から、ときどきこんな質問をいただくことがあります。私の仕事は、人にインタビューをして原稿を作ることです。

文章を書く仕事は、書く力こそが求められると思っている方が大半だと思いますが、それ以上に重要なのが「聞く力」「引き出す力」だということが、意外に知られていません。

なぜなら、いい話を聞くことができなければ、いい原稿は作れないから。どんなに文才があったとしても、人の話を創作することはできません。聞き出した話の内容こそが、重要になるのです。

私はこれまでに、経営者や科学者、アーティスト、俳優、スポーツ選手など幅広い領域の著名人3000人以上に取材してきました。

ご想像いただけるかもしれませんが、私がインタビューをしてきた方々は、超多忙な人たちでした。中には本当に分刻みのスケジュールで動いているような経営者もいました。

実際にスケジュールを見せてもらったことがあるのです。会議と会議の間のわずか数分の時間にも、ちょっとしたアポイントが入ってしまう。びっくりしました。

そんな人たちから時間をもらっているということに改めて気がついて、私が痛感したのが感謝の気持ちです。もちろんインタビューを受けることも仕事ではあるわけですが、超多忙な中で貴重な時間を取ってもらっている。これは本当にありがたいことでした。

だから挨拶をするときか、取材の始まりには必ず「貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます」という言葉を付け加えるようになりました。

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